タイムスリップグリコ ウルトラセブン 「夕暮れの決闘」 | 怪獣玩具に魅せられて

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ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン、その他たくさんの特撮怪獣玩具を紹介します。

グリコのオマケとは思えぬ、トンデモクオリティの「タイムスリップグリコ」シリーズ。海洋堂による食玩全盛期時代の一品。

その中でも、ウルトラセブンのシリーズは、とにかくダイナミックな構図と、気が遠くなるような細かい造形とで魅せる、本当に芸術的な代物が多い。今回は、セブンストーリ人気NO.1「狙われた街」より、幻覚宇宙人メトロン星人との戦いをミニジオラマ化した、こいつを紹介します。
 
 
はい。素晴らしいです。
前に紹介した「侵略ロボット神戸港へ」もすごかったけど、やっぱりこの「夕暮れの決闘」が一番好きかな。
とにかく細かいところまで、丁寧に丁寧に作り上げられています。

 

 

それでいて、実はかなり小さいんですよね。タイムスリップグリコの中では、大きいほうかもしれませんが。

東京下町の工場街を舞台に、メトロン星人がセブンにアイスラッガーでずんばらりんと殺られた瞬間のジオラマ。

劇中では、ウルトラ念力によって操作されたアイスラッガーがメトロンを切り裂くんですが、それを上手くアレンジしています。

手に持ったアイスラッガーでの攻撃というと、ギエロン星獣戦を思い出しますね。

 

斜めから。

ずんばらりんと切り裂かれているメトロン星人がやばい。

アイスラッガーの軌道は、黄色いクリアで表現されています。ここの躍動感が、静かにたたずむ工場街の中で、非常に際立って見えます。

 

反対側。

セブンの体の傾き加減からも、動きが伝わってきますね。

 

 

後ろから見ると、両者の様子がよく見えます。

豹がとびかかるような姿勢のセブンに対して、メトロン星人はややコミカルな切られ方。アイスラッガーがまとう旋風に、巻き込まれているような感じもあります。

 

細かいところまで、丹念に愛でないでは気が済まないこのジオラマ。まずはセブン側の工場を見てみましょう。

なんとまあ……すさまじいな。

ひっそりと影に沈む様子が、本当に良い雰囲気を出しています。あえて抑えめにした色使いも、絶妙ですよね。

 

 

メトロン側には電信柱も。

舞台を構成する「物」の選び方が最高ですね。

とにかく劇中の雰囲気がひしひしと伝わってきます。家を取り巻く塀も、ちゃんとそれっぽく見えます。

 

 

奥。遠近感を出すために、小さく作られています。

 

 

そんな工場街の上で繰り広げられる死闘。

空に向かって突き立つ煙突も良いアクセント。

これがあることで、セブンもメトロン星人も巨大に見える。

 

まずはセブンのほうから見てみましょう。

若干の省きはありますが、ビームランプまで塗り分けられている、驚きの造形です。

爪楊枝の尻くらいしかないのに、ここまで彫り込めるって本当にすごいですよ。

 

プロテクターのくぼみまで再現しようと試みている。

のっぺりとした「セブンっぽい」ヒトガタじゃなくて、しっかりセブンが「彫られて」います。

これが食玩って……信じられないな。

 

尻にはシルバーのラインが走り、手の指までしっかり造形。

とびかかる態勢そのままの足の構図も非常に宜しい。

 

ずんばらりんとメトロンを切った、その手ごたえを伝えるかのような顔の向き。

構図も完璧ならば、両者の視線の先や体が向かう方向などといった、「動き」の造形も完璧なんですよね。

 

 

続いて、メトロン星人・

思いっきり切り裂かれております。

それでいて、メトロンとわかる彫りや彩色。こっちも相当やばいです。

 

 

後ろから見た図。

やや簡略化されていますが、フジツボのような疣も抜かりなく造形。

 

断面図はこんな感じ。

ちょっとグロいですね。

 

お気に入りの構図。
セブンの神がかり的な速さが伝わってくる。
 
すっぱり切られたメトロン。
左側が少しズレて下になっている。この「両断された感」がいいですねえ。
右足を見てもらえればわかる通り、つま先に至るまで、丁寧に「表情付け」がなされています。
 
一瞬の勝負を制したセブン。
その険しい顔からは、戦いの過酷さが伝わってきます。
 
 
夕暮れの決闘ということで、画面の色合いを変更してみた。
ぴょん! と飛び上がったメトロンと、流れるようなセブンの軌道がうまく交差しています。
本当にかっこいいなあ。排水口から流れ出ている水もいいアクセント。
 
 
新たな解釈でよみがえる「狙われた街」--。
ほんとうに、最高が過ぎます。
とにかく味わい深くて大好きです。ほんとうに良いものを褒めるときって、ビックリするくらい語彙が貧弱になるんですね(笑)