愛知県美術館
『展覧会 岡本太郎』(2023年)

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東京都美術館のポスター)

本職?
駄々っ子だもん。


の、ねこがお送りする『展覧会 岡本太郎』乙女のトキメキ乙女のトキメキ
今回は、
第5章と第6章の絵画と立体作品をすべて紹介します。

が、その前に。
第4章と第5章のあいだに、
岡本太郎の言葉が並んでました。

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どれもまっとうな内容じゃないかと…


◆ 第5章 ふたつの太陽  《太陽の塔》と《明日の神話》

岡本太郎
《未来を見た》
油彩、カンヴァス 1971年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《春》
油彩、カンヴァス 1947年(その後加筆)
岡本太郎記念館
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岡本太郎
《悲しい動物》
油彩、カンヴァス 1974年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《室内》
油彩、カンヴァス 1951年(その後加筆)
岡本太郎記念館
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岡本太郎
《動物》
油彩、カンヴァス 1954年(その後加筆)
岡本太郎記念館
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岡本太郎
《手の顔》
油彩、カンヴァス 1978年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《太陽の塔 構想スケッチ》
鉛筆、紙もしくは鉛筆、インク、紙
1967-68年
岡本太郎記念館
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岡本太郎
《太陽の塔》(1/50)
FRP 1970年
川崎市岡本太郎美術館
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1970年の大阪万博のテーマ館として作られた《太陽の塔》を、1/50サイズの立体作品と内部模型、そして構想スケッチによって紹介する。
構想スケッチでは一番高い所に顔を持ち、両腕を伸ばしたような形が出てきたアイデア段階、そして大屋根との接続を考慮していた段階など、塔のイメージを膨らませていった経過がよくわかる。
一方、内部模型からは、根源から未来に向かって吹き上げる「生命のエネルギー」というコンセプトが、塔全体を貫く中心的なテーマになっていたことが視覚的に理解できる。


実物は、高さ約70m。
お腹にあるのは「太陽の顔」
(「現在」を表現)
頭にあるのは「黄金の顔」
(「未来」を表現)
背中にあるのは「黒い太陽」
(「過去」を表現)

ワタシは「黒い太陽」が好きピンクハート
あと、万博当時、
夜間に両眼からサーチライト(?)の光が放たれていたのが、かっこよかったわ。

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岡本太郎
《生命の樹 全景模型》
FRP 2017年
岡本太郎記念館
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参考までに、
実物の《生命の樹》がこちら。
(2000年頃??)

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《太陽の塔》の胴体内部にあります。
現在は補修されて、事前予約制にて一般公開されてます。

太陽の塔オフィシャルサイト →


岡本太郎
《マスク》
FRP 1970年
川崎市岡本太郎美術館
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仮面には人類の原初的な造形精神が込められ、それぞれの民族の祭りや舞踊などで、人間を変身させるための装身具として用いられてきた。
古代から変わりなく続く人類の生命力と創造力を、重要なテーマとして掲げた《太陽の塔》。その地下展示〈いのり〉に展示するために制作されたこれらのマスクは、万博を訪れた多数の来場者に向かって、人は何故生きるのか、何故祈るのか、そして何故作るのかといった根本的な問いを投げかけていた。


《生命の樹》の先端部分を入れてみましたニコニコ


岡本太郎
《明日の神話》(ドローイング)
木炭、紙 1967年
岡本太郎記念館
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「《明日の神話》は、原爆の炸裂する瞬間を描いた、岡本太郎の最大、最高の傑作である」というのは岡本の最大の理解者、岡本敏子の言葉。
中心で燃え上がる人物像以外は斜めに走る線が多く用いられ、横長の画面に配置されたそれぞれのモチーフが相互に関連し合っている。放射能という見えない恐怖を表現するために、キノコ雲や様々な生き物の形が用いられている。未曾有の悲劇をいかに描くかという難問に挑む岡本の苦闘が、モノクロームの画面から伝わって来るようだ。



岡本太郎
《明日の神話》(壁画の下絵)
油彩、カンヴァス 1968年
川崎市岡本太郎美術館
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《明日の神話》のための下絵は4枚残されている。小さなサイズから時系列で下絵が大きくなっていき、最後は実物の壁画の3分の1の大きさになっている。基本的な構図や描かれたモチーフに大きな変更がないのは、岡本が当初から作品の明確な構想を抱いていたからだ。
一方で、名古屋市美術館所蔵品(3枚目)の下絵にだけ画面の左右の下部に壁画と同様のブランク部分があり、川崎市岡本太郎美術館所蔵品(4枚目)の下絵では画面左側に大きな目玉が描かれるなど、それぞれを比較することで見えてくる違いも興味深い。



岡本太郎
《明日の神話》(壁画の下絵)
油彩、カンヴァス 1968年
名古屋市美術館
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現在、渋谷駅連絡通路にある《明日の神話》は、
もともとメキシコシティのホテル、オテル・デ・メヒコ(資金難で途中で建設中止に…)のロビーを飾るために制作された壁画だそう。

★《明日の神話》を詳しく知りたいかたはこちら →
(【詳細解説】渋谷駅で岡本太郎の大作「明日の神話」を鑑賞しよう)


◆ 第6章 黒い眼の深淵  つき抜けた孤独

岡本太郎
《面》
油彩、カンヴァス 1975年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《双子座》
油彩、カンヴァス 1974年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《二人》
油彩、カンヴァス 1950年(その後加筆)
岡本太郎記念館
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岡本太郎
《眼の立像》
油彩、カンヴァス 1981年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《裂けた顔》
油彩、カンヴァス 1980年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《にらめっこ》
油彩、カンヴァス 1978年
川崎市岡本太郎美術館
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1975年に出版されたエッセイ集『にらめっこ』には、若き日の岡本がパリの動物園でヒョウと対峙してにらみ合った経験が記されている。そして1979年に『週間プレイボーイ』で開始した人生相談の連載は「にらめっこ問答」と題されるなど、岡本にとって「にらめっこ」とは生命の交歓の瞬間という、とても重要なやりとりであった。
メディアに登場する際の岡本自身が大きく目を見開いていたのも、そうしたコミュニケーションのための仕草だったのかもしれない。



岡本太郎
《疾走する眼》
油彩、カンヴァス 1992年
川崎市岡本太郎美術館
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晩年の岡本の絵画にはギョロリとした目玉が執拗に描かれている。黒い丸があるだけでそれを目だと認識してしまうという、生物としての我々の本能を最大限に利用したといえるだろう。
岡本は「眼は存在が宇宙と合体する穴だ」と述べているが、確かにこの中央の目玉の奥には、宇宙が広がっているような感じもある。そして、歌舞伎の隈取のような線は目力をさらに強調して、我々をその中へと誘う。



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岡本太郎
《挑み》
油彩、カンヴァス 1980年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《森の家族》
油彩、カンヴァス 1992年
岡本太郎記念館
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岡本太郎
《遊魂》
油彩、カンヴァス 1988年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《愛憎》
油彩、カンヴァス 1983年
川崎市岡本太郎美術館
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岡本太郎
《雷人》
油彩、カンヴァス 1995年(未完、絶筆)
岡本太郎記念館
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人生を芸術に捧げた巨人・岡本太郎が、最後に取り組んだとされている作品である。
太陽のような顔の人物は、大きく体をくねらせて顔が天地逆になってしまっている。ただし、その中央にある顔から四方に向けて、ほとばしる描線が、晩年になっても衰えることのなかった岡本の創作意欲を感じさせる。



そして最後に、
会場出口の前のラウンジに展示されているのが、


岡本太郎
《坐ることを拒否する椅子》
陶 1963年
川崎市岡本太郎美術館
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モダン・デザインの座り心地の良い椅子は人の前進を止めてしまうと考える岡本にとって、椅子とは、「活動的な歩みの中で、一時腰をおろすだけのもの。つまり人生の戦いの武器である」という。
凹凸のあるごつごつした質感を持ち、座る人をにらみつけてくるユーモラスな椅子は、「精神的にも肉体的にも人間と対決し、抵抗を感じさせる」というコンセプトが形になったものである。


この椅子、座ってもOKです。
遠慮なくどうぞどうぞ!
どうぞどうぞ!ニヤニヤ


今日の芸術は、
うまくあってはならない。
きれいであってはならない。
ここちよくあってはならない。


絵画、立体作品に、
岡本太郎が撮影した写真、書籍を加えて約170点。
スライドショーの映像が122点。
なんと300点近くの作品が集結する
大回顧展となってますよー!グッキラキラ
(ワタクシは来館者のかたがたをよけて歩くのに全集中で、
じっくり鑑賞できなかったわタラー


2

開館から2時間後、
依然、当日券売り場には行列が。。。
やっぱ日曜日の美術館は避けておこうタラー

以上、「駄々っ子」のねこがお送りいたしました。
ありがとうございましたニコニコ


『展覧会 岡本太郎』
◆2023年1月14日(土)-3月14日(火)
 愛知県美術館
(愛知が最終会場です)
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(名古屋市東区東桜1-13-2)

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(神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内)

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(東京都港区南青山6-1-19)

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