名古屋市美術館
『大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年』(2012年)

風景写真 カメラ1


ちわ~~、クマ太郎ですくま

名古屋市美術館で開催中の『大エルミタージュ美術館展』を観てきました。


フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター
《女帝マリア・アレクサンドロヴナの肖像》
キャンバスに油彩 1857年 130×95.5
エルミタージュ美術館
風景写真 レンズ1


フランソワ・フラマン
《1802年マルメゾン宮殿でのパーティ》
板に油彩 1894年頃 106×139
エルミタージュ美術館
風景写真 レンズ2


誰かが「なんで大エルミタージュ美術館展なんだ?? 小エルミタージュはあるのか?」と言ってたのですが、いま調べたら小エルミタージュ、ありました(笑)。

Wikipediaによると、

エルミタージュ美術館のロシア語の正式名称は「国立エルミタージュ」。「エルミタージュ」とはHermitage、(隠遁者/世捨て人)の部屋という意味。
小エルミタージュ、旧エルミタージュ、新エルミタージュ、エルミタージュ劇場、冬宮の5つの建物が一体となって構成されており、現在本館となっている冬宮はロマノフ朝時代の王宮…

ということです。

1764年にエカテリーナ2世がドイツから美術品を買い取ったのが、エルミタージュ・コレクションのはじまりで、エルミタージュ美術館の起源は彼女が1775年に建てた自身専用の美術品展示室で、もちろん当時は一般に公開はされていなかったということです。

エカテリーナ2世って方は、調べてみると正に女傑というに相応しい方だったようですね。
旦那さんがダメ駄目君だったようで、勢い国政からアカデミックな方面まで、彼女は精力的に活動することになりました。
おかげで芸術だけでなく科学の分野まで再び勢いを取り戻します。
なんせ戦争もバンバンやりますからね(笑)。

大砲の砲弾の命中度を上げるために弾道の放物曲線を解析する、そしてそれを現場で簡単に素早く使うための精度の高い近似計算法を考える…
こんな風に科学は用いられていた、という当時のお話があります。

代表的な例は数学者のレオンハルト・オイラー。
彼ほどエカテリーナ2世から手厚い庇護をうけた人はいなかったでしょう。

先代のエカテリーナ時代から生徒として彼に学んだエカテリーナ2世は、その後クーデターでドイツへと出奔したオイラーに、ドイツ時代も多額の援助を与え続け、自らが帝位に就くとオイラーを呼び戻して更に厚遇しました。
これはオイラーに限ったことではないのですがね。

あ、全然『大エルミタージュ美術館展』の話になってない…(笑)。

ま、こうしたイケイケのロシア時代ですから、集まる美術品もハンパないわけですね。
それが観られるのが、この展覧会なのです。
ルネサンスからバロック、ロココ、新古典派、ロマン派、印象派、ポスト印象派、アヴァンギャルド、そして現代美術と、巨視的な視点で時代をぐるりと見て取れるのが、この展覧会の素敵なところです。

個人的に嬉しかったのは、バロックやロココ、新古典派という時代のコレクションはなかなか最近まとまって観ることが無く、ましてやその時代の流れをひとつの展覧会で観るというのは大変なのですが、今回は充分楽しませてもらいました。
以前に観たコレクションもあり、懐かしく思いました。


ピエール=ナルシス・ゲラン
《モルフェウスとイリス》
キャンバスに油彩 1811年 251×178
エルミタージュ美術館
風景写真 レンズ3


《モルフェウスとイリス》はぜひ実際にご覧下さい。
大きな作品で、圧倒するというよりは圧巻です。
柔らかさと澄み渡ったエロティックさが素晴らしいです。
こういう大らかさを現代の「美術」は失っていると感じる時があります。


ジュール・ルフェーヴル
《洞窟のマグダラのマリア》
キャンバスに油彩 1876年頃 71.5×113.5
エルミタージュ美術館


《洞窟のマグダラのマリア》もそうした感がありますね。
キリストに帰依した彼女は後年マグダラ洞窟で隠遁生活を送る、という逸話なのですが、オイラはこれを観るとカトリック教会が手慰みとしてもてあそんで来た「マグダラのマリア伝説」とは全く違った視点で描かれているのではないか? と考えてみたくなります。
女性の原罪という視点のマグダラのマリアですが、これは女性賛美というか、母性も含めた女性という「性差」への感嘆と興味を含めた「賛美の象徴」として描かれたのではないかと考えてもみたくなるわけです。

いろんな時代の作品がありますので、ぜひじっくりとご覧になることをお勧めします。
暑さが緩む季節にはもってこいの展覧会ですくま


『大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年』
◆2012年7月28日(土)-9月30日(日)
 名古屋市美術館
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(名古屋市中区栄2-17-25 白川公園内)

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・『大エルミタージュ美術館展』③(2012年)


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