Pamela Colman Smith 7女性運動とレズビアンの憶測
Souce)Pamela Colman Smith 1903 – The Green Sheaf | Mary K. Greer's Tarot Blog
メアリー・K・グリアさんとう、タロットの歴史と実践を専門としたライターさんのブログから転用しました。
ところで、パメラの年表(2)で紹介した雑誌『The Green Sheaf』を覚えていますか?
Source)Watkins Books, London 2017,by susanwands
『The Green Sheaf』は、たった2年の期間ではありますが、パメラ自らが刊行した雑誌です。
グリアさんのブログで、この『The Green Sheaf』の表紙に掲載されたパメラの謝辞が紹介されています。
私の刈った麦の穂束は小さい。
でも青々としている。
私は、できる限り若々しくて新鮮なもの(絵画、詩、愛の背景にあるバラード、そして海賊と海の物語)を
すべて私の穂束に集めよう。
Souce)Pamela Colman Smith 1903 – The Green Sheaf | Mary K. Greer's Tarot Blog
生涯を通じて男性との共同プロジェクトの多くで、スミスの仕事と貢献は過少評価され、割愛された。
男性優位のヴィクトリア朝末期の出版業界で彼女が直面した否定的な体験が、彼女の雑誌『グリーン・シーフ』(1903-4年)、そしてその後の『グリーン・シーフ・プレス』(1904-6年)の創刊へと駆り立てたのだろう。
これらの事業を立ち上げたことで、彼女は出版プロセスをよりコントロールできるようになった。
さらにこの雑誌で、パメラは女性やジェンダー不適合者の活動に焦点を当てた広告活動をしています。このことは、前述のマリオン・グラントさんの文献で詳細に紹介されています。
スミスは、女性やジェンダーに適合しない人物の創造的労働を紹介する、フェミニズムの対象として機能するように雑誌を編集しており、広告欄もまた、スミスの社会的・政治的アジェンダを反映する同様の編集方法を示している。
スミスは、女性やその他の疎外されたクリエイターによる著作物や創造的労働を一元化するために、広告欄をデザインし構成した。『グリーン・シーフ』の次号に、期待される女性やジェンダー不適合者を含む芸術的・文学的寄稿者の一部を紹介する広告を掲載している。
そして、パメラは『グリーン・シーフ』の刊行を終了した後も、ますます女性運動に熱心に傾倒していったようですね。
事実、コールマンはこのタロット画制作以降、本格的に婦人参政権運動に傾倒していく。ローレンス・ハウスマン(Laurence Housman)が婦人参政権運動のために作ったスタジオ「Suffrage Atelier」に数々のポスターを提供した。その他、運動に参加する女性達の経済的援助を行った記録も残っている。
Source)書評by Elizabeth Foley O’Connor “Pamela Colman Smith: Artist, Feminist and Mystic” 角谷由美子
こういった、パメラの女性運動家としての活動のせいか、あるいはパメラが亡くなるまで数十年の長きにわたり女性と同居していたり、エディ・クレイグという女性とごく親しくしていたことから、パメラは同性愛者だったのではという憶測がされている文献も複数ありました。
その中でもミシェル・ティーさんという方の文献では断言に近い書き方がされていました。一部抜粋して掲載します。
彼女が心臓病で亡くなったときに所有していた美術品は、多額の借金を返済するためにオークションで売却された。残りの遺産は、霊能者として知られ、コールマン・スミスの恋人と思われた「同居人」ノラ・レイクに遺贈された。この2人は40年間交際していた。~中略~
エディ・クレイグのようなqueer(同性愛者)として知られる女性たちと過ごしていた。クレイグは、コールマン・スミスのタロットのワンドの女王のモデルでもある。
Souce) The Divine Mystery of Pamela Colman Smith – Enchanted Living Magazine, Michelle Tea
パメラが同性愛者であったと推測している文献が複数あった一方で(あるいは、そうであったら・・・とロマンチックな空想をしているにすぎない文献も多々ありましたが)、こんな解釈をしている文献もありました。チェリー・ギルクリストさんの記事を紹介します。
彼女の情緒的(emotional)な生活はいまだに謎に包まれている。エディ・クレイグと親しかったのではないかという憶測はあるが、男女交際の形跡はない。また、スピリチュアリストのノラ・レイクとの交際を示すものは何もない。当時は、独身女性がカップルを組んで一緒に家庭を営むのが普通だったからだ。
Source)A Pixie in Bude – Pamela Colman Smith, Tarot Artist,Cherry Gilchrist
実は、パメラのことを同性愛者なんじゃないか?と空想していたり、断言しているライターの方は複数いました。
でもどのライターさんも、パメラのことが大好きでパメラが当時の男性優位な出版業界で搾取されていることに憤っている人ばかりでした。パメラ愛が炸裂しているライターさんばかりです!
皆さん、決して「面白可笑しく、センセーショナルな記事になれば」という気持ちでパメラの事を書いているわけではありません。パメラのことを書いているライターさん達は、みんな、パメラに最大の敬意を払っている人ばかり。
きっとパメラが「時代の先を行く、ジェンダーレスな人だったらカッコイイな!」という気持ちもあってこのような憶測が生まれたのではないかと思います。
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