アンニョンハセヨ~ニコ

 
韓国ドラマを視聴するようになるまで、お恥ずかしながら朝鮮王朝の君主をほとんど知りませんでした(大韓帝国のラストエンペラーだけかろうじて……という感じ)。

 

しかしこの1年半で、有名な王様だけはわかるようになりました(江戸幕府だと家光、綱吉、吉宗、みたいな)。

 
名君として国民から愛されるのは、ハングルを作った4代の世宗や、ドラマ「イ・サン」のモデルとなった22代の正祖など。

 

そしてキャラ立ちがすごいのは、10代の燕山君や、今回のモデルになっている15代の光海君

 

この2名は「暴君」としてのエピソードが多いので作品にしやすいようで、モチーフとなったドラマや映画が多いですね。

 

自分の数少ない視聴歴でも、光海君は「ノクドゥ伝」に登場していました。

 

そんなわけで“光海君モノ”として以前よりブックマークしていた本作品ですが、先日読んだ本下矢印の解説のおかげで視聴意欲が急上昇したのでさっそく開封。
 

 

上記本の解説に違わず、めちゃくちゃ面白かったーーーーー爆  笑爆  笑爆  笑

 

光海君モチーフの主人公による完全なフィクションなので、史実プロットの展開を予想して視聴した自分は、良い意味で裏切られまくり!

 

そして、とてもわかりやすく観やすい超エンタメ作品に仕上がっているので、歴史ドラマ慣れしていない人でも楽しめると思います。

 

※もともとはイ・ビョンホン出演の映画だそうですが、自分は未視聴です。

 

 

※画像は公式ポスターより

 

■視聴時期

2022年7月

■お気に入り度(5点満点)

★★★★

■視聴方法

Amazon prime(全16話)

■放送開始年

2019年

■放送局

tvN

 

※以下はあくまでもkabo個人のたわ言です。マイナス点も挙げていますのでご容赦ください。

※以下よりネタバレありです。

 

 

 

 

■満足点・共感点

 

1.サイダーとブロマンスが効いた脚本

 
韓国ドラマの脚本が面白いことは十分わかっていたつもりでしたが、今回改めてそう思いました!

 

一進一退というか、一難去ってまた一難というか、ハソンの置かれる状況が目まぐるしく変化するので、ずーーーーーーっとハラハラドキドキの連続。

 

状況が落ち着いてほっとしたのも束の間、本物の王様が戻ってきたり、偽物疑惑で大騒ぎになったり、ちょっとした気の緩みで王妃様にバレたり、懲らしめたはずの敵がカムバックしたり……、周りは敵だらけで常に臨戦態勢。

 

自分が感じた面白さの1つは、そんな状況の中でわかりやすいほど憎たらしい敵の策略や攻撃を、“チームハソン“が頭脳戦で打破していくという、いわゆる「サイダードラマ」的な爽快感

 

もう1つは、“チームハソン“のメンバーが彼の人間性や資質に魅了され、彼が試練を乗り越えて成長していくにつれて虜となり、彼らの忠誠心や結束力が高まっていくという、ブロマンス要素

 

ベタな展開やご都合主義も盛りだくさんですが、それを凌駕する脚本力だったと思います!

 

また、対立構図がシンプルでわかりやすく、設定迷子に陥るストレスもありませんでした。

 

 

 

2.ハソンの二面性

 
見どころの1つはヨ・ジング氏の1人2役ですが、道化師のハソンだけに注目してもすごい演技力だったと思います。
 

便殿の空気をガラリと変えた素朴な人間らしさがある一方で、機転が利いて、品があって、本物の王のような冷徹さも持ち合わせているカリスマ性の表現。

 

“人たらし”な雰囲気で周りが放っておけないのに、いざというときは「そんな能力どこに隠していた?」と思ってしまうポテンシャルの高さ。

 

そんなハソン自身の二面性を表現する演技力も、本当に素晴らしかった!

 

だからこそ、内官や武官が“王様ごっこ”に付き合っているのではなく、本物の王様として接していることに説得力がありました。

 

この若さでここまでの演技力と存在感、さすがのキャリアですね!!

 
 

3.充実のサブキャラ

 
ハソンが魅力的なのは、脇を固めるキャラクターの充実があってこそ。
 
敵味方関係なく、どのキャラクターにも愛着がわきました。
 
●都承旨

演じたキム・サンギョン氏は、少し前に視聴した「ラケット少年団」のコーチ役でかなりツボだったので、前半はそのときのすっとぼけたキャラクターを思い出して、何度もニヤニヤしてしまいましたw

 

終盤に都承旨がハソンを本物の王として認め忠誠を誓うまで、便殿で彼がいつも玉座に座っているシーンとか、けっこうジワリましたw

 

そして、本物の王様との海のシーンは圧巻でしたえーん

 
彼のすべての行動は、民のため、国のため、ひいては“本物の”王のためなんですよねぐすん
 
それが真の“正義”なのかは別問題ですが……(シン・チスが言うように、彼の傀儡政権であることは事実ですから)。
 
海のシーンは、単なるブロマンスではない親子のような2人の絆を感じられ、彼がどんな気持ちで王の最期を決意したのかを考えると、胸が詰まりましたえーんえーん
 
 
●チョ内官
仕事を厳しく教える父的存在の都承旨とは反対に、優しく包み込む母のような内官との関係は癒しのシーン。
 
似顔絵のエピソードとか、一緒におやつを食べるシーンとか、ほのぼのシーンがたくさんチュー
 
演じたチャン・グァン氏は、「雲が描いた月明り」で 尚膳(内官のトップ)だったので、今回は降格か(←違。
 

ちなみに礼曹判書役のソ・ジャンウォン氏は「ノクドゥ伝」で光海君の内官だったので、ちょっと混乱したw

 

 
●チャン武官
“チームハソン”の中では、強い兄として弟を守る、ちょっとツンデレの武官。
 
彼と王妃は、最初は王様が偽物であることを知らなかったので、正体がわかった後の「怒り→葛藤→受容→ゾッコン」の流れを表現する重要な役でしたね。
 
ただ、ほかの作品の王の護衛役と比較すると、ちょっとキャラが弱かったような……。
 
演じたユン・ジョンソク氏の出演作を調べるまで、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」でジュニ(チョン・ヘイン氏)の同僚だとは気づかなかった!
 
 
この3人に育てられながら、ハソンが成長していく姿が最高でした。
 
 
●シン・チス
視聴中はずっと「ブライアン」と呼んでいましたw(「恋愛ワードを入力してください」より)
 
ドラマの視点ではわかりやすく悪者として描かれていますが、見方を変えれば彼も“正義”になりえるわけで、ある意味ハソンの私怨で彼と息子の処遇が決まった時は少し同情しました。
 
とはいえ、しぶとくカムバックしたときは「いい加減にしろーーーーーおいでおいでおいで」と再びムカついたw(単純)
 
 
●大妃

彼女もわかりやすい“悪女”“ラスボス”として描かれましたが、息子を殺された母親なのだから、そりゃそうだよなと感情移入できる要素が多かったです。

 

チャン・ヨンナム さんはヒステリックな役が似合いますね~。

 

ちなみに「ノクドゥ伝」では、今回王妃の女官だった女優さんが大妃でした。

 
 
 

4.光海君の解釈

 
前述したように“暴君”のイメージが強い光海君ですが、近年はその政治手腕が評価され、実はそこまで暴君ではなかったのではという見方があるそうです(「ノクドゥ伝」視聴後に調べて知った下矢印)。
 
それを踏まえて、史実に基づいたエピソード(肉親への粛清や外交政策、大同法など)を見ると、本当に光海君は2人いたのかもと思えたほどでした。
 
また、史実ではクーデター(今回の晋平君ではない)によって光海君の直系は途絶えてしまったから、王妃とのラブラインはアレンジ自在だったと思うので、“偽物の王様”との子どもが生まれる展開でもよかったのに~!
 
 
 

5.印象的なセリフや作品メッセージ

 
ハソンが王になるまでの過程が、「組織を変える強いリーダーとは?」がテーマの研修映像のようで、管理職とは無縁の自分はなるほどーと思うセリフが多かったです。
 
また、ハンソが大妃に放ったセリフ「貴賤は身分ではなく、心と行いによって天が決めるものだ」もよかった!
 
この作品が最も伝えたかったテーマでしょうね!
 
朝鮮王朝時代にはありえなかった民主主義や賤民の人権が、フィクションの中では良い方向に進みそうでロマンがありました。
 

 

 

■モヤモヤした点・共感できなかった点

 

●ラブラインで当事者意識になれず

このドラマを楽しめた最大の要素は、ヨ・ジング氏の圧巻の演技だったのは間違いありません。

 

キャラクターに色気もあったし、ラブラインもとても良かったのですが、どうししても当事者意識になれず(なる必要ない??)、そこまで「ヨ・ジング様~ラブ」と萌えられなかったんです。

 

たぶん「イルジメ」「太陽を抱く月」で見た子役時代のビジュアルが脳裏をよぎってしまい、親戚の子を見ているような気持ちになったからかもw

 

キスシーンでは「子役出身俳優のファーストキスは、実生活だったのか、仕事だったのか」と、余計なことまで考えてしまったのも一因です。

 

 

●最終回が微妙

まず、後継者決定の流れが雑だったな~。
 
突然現れた後継者のキャラクターが全然描かれていないから「お前は誰だ!!」という気持ちになったし、「王族内で密かにリクルートしてた」という流れが雑すぎるww
 
それなのに後継者を玉座に座らせてフィーチャーするシーンまで必要だったかな???
 
ハソンが退くまでの実績づくりの様子も全然描かれていなかったので、「この地位の価値を高めておいた」というセリフも響かず……。
 
あ、でもハンソが最後に達筆になっていたのは見事な回収でした!
 
そして前述したように王妃とのラブラインは、かなりアレンジ自由だと思ったので、クーデターで廃位された2人が叔父と妹の元へ移住して、奇跡的にお子が生まれて……というハッピーエンドを予想していました。
 
だから敵の残党に襲われたときは本当にびっくり!!

 

でも、王になりすますというとんでもない重罪を犯したわけだから、それに加担した武官も含めてあの結末は仕方ないよねと思って納得したんです。

 

きっと宮内では内官も処刑され、“偽物の王様”を知っている人たちはこの世からいなくなるんだろうなと(王妃を除く)。

 

それなのにあのラストシーンですよ真顔

 

ヘーゼルナッツの伏線回収は見事だったけど、あんな唐突な再会ならわざわざ刺されなくてもよかったのでは???

 

 

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この後は、映画版も視聴予定ですニコ
 

ではまたバイバイ

 

 

 

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