14_「彼が言うから仕方なく」 | 日陰で絵日記

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 「…では、今期は私が管理組合の理事長をつとめます」


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 そう明言してから、


 「大変な仕事です。みなさんの協力無しではとてもやれないでしょう。よろしくお願いします」


 きれいなあいさつでまとめた。


 どこか上滑りな印象だ。




 エンドウさんが理事長になるのは、はじめから決まっていたような気がした。



 事前協議があったとは言わない。

 だが暗黙の了解というか、アイコンタクトというか…。


 「エンドウさんが適任」な空気が、一部の理事たちにあったのは確かだろう。



 それでも周囲からの推薦という体裁にしたのは、もちろん言質を取る意味もあるだろうが、

 それ以上に「だって~彼が言うから仕方なく~」などという「受け身」を気取る女の子

 的な、あくまで「自分が望んだ事ではなく、相手から求められたから」なスタンスを取る為の

 演出に思えた。



 

 満場一致で理事長となったエンドウさんは、しかしそれを喜ぶでもなく、淡々と続けた。



 「さて、では次は副理事長を決めなければなりませんね」



 そしてゆっくりと、隣に座っているボクの方を見た。

 






 


    

 <続く>  






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