近所のイトーヨーカドーでは、地震の後で「入場制限」が設けられた。
入口に規制をする綱が張られ、10人の客だけが入れられる。
その10人が買い物を終えてレジを済ませるまで、次の客は入れない。
「まとめ買いしなきゃ」、「早い者勝ちだから」。
客たちのパニックにも似た状態に、危機感を募らせたからだろう。
いま思えば冷静な対応だったと思う。
ちょうどその頃、こんな光景についてよく耳にした。
興奮気味に「助かったわ～」と目を輝かせながら水を大量買いする高齢者の方々。
米が5キロまでしかなく、「なぜ10キロがないんだ！」と店員に食ってかかる高齢者の方々。
こうした場面はあちこちで見かけたらしく、マヨ以外にもいろいろな場所のいろいろな人たちから似たような証言を聞いた。
「ワイドショーにかじりついてる高齢者たちが『○○が足りなくなる可能性がある』とテレビで観るや否やスーパーに走り、片端から買いあさっていくのだ」
誰もがそう解釈したようだ。
確かに夕刻スーパーに行くと、主要な陳列棚はぜんぶ空だ。
困り顔の妊婦さんや、小さな子の手を引くお母さん方がその前で佇んでいるのを見た事もある。
その傍らを、嬉々とした高齢者の方々が大量の水を運んでいく様も…。
なんだか、いろいろ考えてしまった。
とても、とても考えてしまった。
…続く
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