的場 輝佳(食品科学) | 科学カフェ京都(特定非営利活動法人)

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◆◆ 科学カフェ京都 第178回定例会 ◆◆




日時: 2024年 4月13日(土) 2時~4時30分


話題: 「味の東西、だしの東西」


講師: 的場 輝佳 先生
(奈良女子大学名誉教授 専門:食品科学・調理学)
https://researchmap.jp/read0015275

会場: 京都大学理学研究科セミナーハウス
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_n.htm
(上記地図の番号10の建物です)



概要:
昔から「関西の薄味、関東の濃味」と言われているが、人の移動や情報の伝播が活発な現在でも、この通説は本当なのか? もし、本当ならその要因は何なのかを、関西人の立場から考えてみたい。庶民的な「うどん」に注目し、東海道沿い(神戸市から東京都の間の12都市)のうどん屋から「うどんのだし汁」を収集し解析した。その結果、「関西の薄味、関東の濃味」の傾向は確かであった。この食嗜好の東西分水嶺(境界線)は、関ヶ原辺りに引くことができる。関ヶ原の東側のこの地域は、「木曽三川」(木曽川、揖斐川、長良川)があり、治水工事が十分でなかった時代(明治維新以前)は、洪水が頻繁に起こっていて、陸の難所であった。当時の東海道は、熱田(宮)と桑名の間は、陸路でなく海路(七里の渡し)であった。このような人々の交流を遮断する地理的要因があったために、関ヶ原付近を境に「味の東西、だしの東西」を分ける食文化圏が形成されたと考えられる。これらの要因について、うどんだしの「味覚、色、香り」と食嗜好を関連付けて紹介する。更に、うどん以外の「食の文化東西論」についても言及する。

参考文献