NHK文化センターで3回の講座をさせていただくことになりました!
『絶望文学館へようこそ
──眠れない夜に「読む薬」』
7/22「辞世の句」
8/26「身体から読む文学」
9/23「生きるかなしみ」
オンラインなので、全国からお申し込みいただけます!
また、それぞれ1週間のアーカイブ配信もあるので、
リアルタイム視聴でなくても大丈夫です!
ご都合のいい日のご都合のいい時間にご覧ください。
ぜひよろしくお願いいたします!
お申し込みはこちらから。
第1回目7/22「辞世の句」については、
以前、ご紹介しました。
第2回「身体から読む文学」についてゃ、
こちらでご紹介しました。
今度は、
3回目の「生きるかなしみ」についても、
少しご説明を。
かつて山田太一さんが「生きる歓(よろこ)び」という講演会を開かれたことがあった。こう説明されていた。
「じつは、ここでの講演のお話をいただいたとき、私はタイトルを「生きる哀しみ」というふうに申しあげたんです。そしたら『生きる哀しみ』では誰も来ないのではないか、って係の方が心配なさったんですね。そうか、それももっともかと思ってね、『生きる歓び』というふうにしたんですけど」
山田太一さんでさえ、そういうことがあるのかと驚いた。
「生きるよろこび」を見いだすことはもちろん大切だけど、よろこびの燃料ばかりそそぎこんでも、かなしみの穴があいていているのに、それを見ないようにしていたのでは……。
山田太一さんはその後、『生きるかなしみ』という本を出して、アンソロジーとしては異例の30年以上のベストセラーに。
「かなしいけど生きる」というのは、そもそも矛盾している。その矛盾をどうやって生きていくのかは、とても大切なテーマだと思う。
文学は「生きるかなしみ」もしっかり描いている。むしろ、そこをとことん描いている。
そこをみなさんと、じっくり読んでいけたらと思っています。
「生きるかなしみ」は誰だってイヤで、ないほどいい。
でも、かなしみを知らない人より、知っている人のほうが、なぜか魅力がある。寒風にさらしたほうが味わい深くなるのか。
でも、苦労も必要なんてことはない!
かなしみを味わうとはどういうことなのか?そこも文学を通して考えてみたいと思います。