群像社発行の『ロシア文化通信 群 GUN』
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にドミトリイ・バーキンの追悼文「早すぎる死の遺産」を寄稿しておられます。

その中に「本業のトラック運転手を引退したあとに、心置きなく執筆に専念してくれるのではないかと期待」していたのに残念とある。本当にそう。
残された作品でわかっているのは、短編11本と長編の第1章のみ。
もともと寡作だったのか、トラック運転手をしていて時間がなかったせいなのか。
好きでトラック運転手をしていたのならいいが、生活のためだったとしたら、じつに悲しい。
賞を受賞したときも、奥さんが来て賞金だけ持って帰ったそうだから、生活のためだった感じもする。
パンのための仕事に時間をとられずに、じっくり書くことに集中できる期間を、ぜひ人生で持ってほしかった。
作家を目指しながらも、生活のために別の仕事をせざるをえず、仕事に時間と活力を奪われて、思うように書けずに悩んでいる人は、おそらく少なくないだろう。
そういう人には、身につまされる最期ではないだろうか……。
残されたわずかな作品をぜひ多くの人に読んでほしいものです。
ドミトリイ・バーキンが、カフカのようにパンのための仕事に苦しんでいた人なのか、
それとも作家よりもトラック運転手でありたかった人なのか、
本当のところはわかりませんが……。
『出身国』
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