なぜ一人の名言集ではなく二人の名言集なのか?『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

プロフィール画像を、前書の表紙から、今回の本の表紙に変更してみました。
前書の表紙は漆黒でしたが、
今回は、半分はゲーテなので、半分は白です。
白と黒のハーフ&ハーフになりました。

なぜ今回、カフカだけ、あるいはゲーテだけの名言集にせずに、
二人の名言集にしたかというと、
いろいろ理由はあるのですが、
まずは、対比したほうが、両者の言葉の魅力がより伝わってくるからです。


ひとりの人の言葉を集めた名言集はたくさんあります。
たくさんの人の言葉を集めた名言集もたくさんあります。
でも、二人の人物の言葉を対比させた名言集はありません。

これが不思議でした

黒があってこそ、白の輝きは増します。
白があってこそ、黒の深みも増します。

反対色である緑と赤が並べられることで、はじめてクリスマスのあの独特の雰囲気が出ます。

「ボトルにまだ半分も酒が残っている」
「ボトルにもう半分しか酒が残っていない」は、
二つ並べて読むことで、はじめてそれぞれの意味合いが際立ちます。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
「君子危うきに近寄らず」は、
片方だけでなく、両方を知っていてこそ、自分なりの判断を下せます。

ゲーテとカフカは、明と暗の絶妙の対比を見せてくれます。
ゲーテの希望も、カフカの絶望も、お互いの存在によって、より味わいを増します。
それをぜひ味わってみていただければと思います。



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