が復刊になりました!
復刊ドットコム『民間説話 世界の昔話とその分類』

民話や昔話は、それ自体も面白いですが、
類話を知ると、
さらに面白さが倍増します。
民話は、その地域に根ざしたものを思われていて、
たしかに、そういう面はあるのですが、
じつは、同じような話が世界中にあったりします。
なぜかと言うと、
ひとつには、
人から人、口から口に、広がっていったためです。
徒歩で生きていた時代でも、
お話というのは、意外なほど広がっていっています。
ただ、それだけではなく、
まったく別々に、まったく別の場所で、
同じようなお話が誕生してもいます。
その理由を、
ユングの「集団的無意識」に求める必要はないでしょう。
同じ地球で、同じ人間が暮らしているのですから、
同じ物語が生まれるのは、むしろ当然です。
そして、
多くの地域に類話があり、
長い時代を経ても残っている話というのは、
それだけ、人間の普遍的な部分をとられているということです。
地域の特殊性がつきつめられて、
普遍性に達しているわけです。
だから、民話や昔話は面白いのです。
現代文学も、
しばしば民話や昔話まで立ち戻って、
そこから再出発します。
最近ではマルケスなど、
まさにそうですね。
そして、
これはまったく逆のことを言うようですが、
同じ話なのに、地域ごとにちがいがあること、
つまり、その地域ならではの味付けが、
これまた比較してみると、面白いのです。
というわけで、
類話を知るというのは、
昔話の楽しみの中でも、
醍醐味と言えます。
ご興味のある方は、この機会にぜひどうぞ。
残念ながら、またすぐに絶版になるでしょうから。