演劇の中で『絶望名人カフカ』の言葉がつぶやかれる!「生憎 ―それはただひとつの合図―」 | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

カフカの『審判(訴訟)』をモチーフにした演劇が上演されます。

オフィスコットーネプロデュース新春第1弾!

新作「生憎(あいにく) ―それはただひとつの合図―」

作:大森寿美男

演出:扇田拓也(ヒンドゥー五千回)

プロデューサー:綿貫 凜

出演:植吉・桔川友嘉・斉藤まりえ・鶴田祐也・中原果南(無名塾)・橋本拓也・間瀬英正・渡辺 穣(演劇集団円)

劇場:笹塚ファクトリー
日程:2013年3月27日(水)~31日(日)

公式サイト


『審判(訴訟)』そのものの演劇化ではありません。
また、いわゆるカフカ的な不条理劇でもありません。

以下が、内容の紹介文です。


ある事件で突然殺人犯にされてしまう男。
10年後、冤罪とわかりはれて釈放、故郷に戻ってくる。
家族、弁護士、支援者は平静を装ってはいるが、それぞれ腹にイチモツ抱えている。
本音と建前、明と暗の間でゆらぐ人の心、そして家族の不確かな絆。
やがて男はこれまでの人生に自分なりの決着をつけようとするのだった・・・。
フランツ・カフカの絶望観をモチーフに大森寿美男が独自の視点で描く、
サスペンスフルな人間ドラマ。



じつは昨日、
この台本を読みました!

封筒から取り出して、
まずはちょっとばらばらとめくってみるつもりが、
つい引き込まれて、
そのまま一気に最後まで読んでしまいました。
とても面白かったです!

そして、びっくりしました。
お芝居の最初のほうで、
登場人物たちの会話の中に、
『絶望名人カフカの人生論』らしき本の話が出てきて、
さらに、
登場人物のひとりが、
『絶望名人カフカの人生論』の中のカフカの言葉を、
自分自身に重ね合わせるようにしてつぶやくシーンが、
何回も出てくるのです。

そういうわけで、
上演前に台本を読ませていただけるという、
恩恵にもあずかれたのです。

脚本家の大森寿美男さんといえば、
向田邦子賞も受賞されていますし、
私もテレビドラマや映画をいくつも拝見しています。

ウィキベディア「大森寿美男」

その方が、『絶望名人』に目をとめて、
脚本の中にたくさん引用してくださったというのは、
じつに光栄で、ありがたいことです。

これがどんな舞台になるのか、
期待が高まります。

シアター情報誌「カンフェティ」の3月号の18ページにも、
インタビュー記事が掲載されています。

シアター情報誌「カンフェティ」3月号 Web版

この記事の中で、大森寿美男さんは、
「生きる上で誰しも経験するであろう、
 自覚のない“見えざる力による支配”を
 描こうと思いました。
 支配される側だけでなく、
 支配する側も実は何かの支配を受けているというような」

と語られています。

また、こうもおっしゃっています。
「期待を裏切らず、
 予想を裏切る舞台にしたい。
 テレビや映画では味わえない体験をしにきてほしいですね」


こうした言葉が琴線に少しでもふれる方は、
ぜひご覧になっていただきたいと思います。

たしかに、予想しない内容でしたし、
でも、とても面白かったです。

もうチケットも発売になっています。

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