アルトマン監督の「三人の女」ついに発売!!!!! | 「絶望名人カフカ」頭木ブログ

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『絶望名人カフカの人生論』『絶望読書』『絶望図書館』、NHK『絶望名言』などの頭木弘樹(かしらぎ・ひろき)です。
文学紹介者です(文学を論じるのではなく、ただご紹介していきたいと思っています)。
本、映画、音楽、落語、昔話などについて書いていきます。

なんと、ついに発売になります!

三人の女 [DVD]/シェリー・デュヴァル

¥3,990
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7月11日の発売で、
Amazonだと¥2,953です。
いやー、楽しみです!
ほくほくです。

少し前に、
「ナッシュビル」が出たときに、
「三人の女」が出るといいのになーと書きましたが、
すぐに出してくれるとは、
本当にキングレコードにお礼を言いたいくらいです。

しかも、HDニューマスター!
監督のコメンタリーがないのは残念ですが、
贅沢は言いません。

私がこれまで観た映画で、
ベスト10を挙げるとすると、
これがベスト1になるかもしれません。
それくらい好きです。

アルトマン監督と言うと、
「ナッシュビル」のような、
群像劇が有名ですが、
「三人の女」は、
登場人物がとても少なく、
タイトル通り、
三人の女の話です。

大きな事件もなく、
とても静かな展開です。
でも、スゴイです。

二人の女の立場や人格が入れ替わっていきます。
このあたりは、
ちょっと、ハロルド・ピンター的な感じもあります。
そこがたまりません。
ラストシーンなど、ぞくぞくします。

人格の入り替わりに関して、
後に、ベルイマンの「ペルソナ」が元ネタだと知って、
そちらも観ました。

仮面/ペルソナ [DVD]/ビビ・アンデション,リヴ・ウルマン,ヨルゲン・リンドストレム

¥5,040
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なるほど、元ネタというのがよくわかりました。
これも素晴らしい名画です。

でも、「三人の女」への評価がおちることはなく、
その後も同じように好きです。

立場の入れ替わりに関しては、
それこそハロルド・ピンター脚本の
「召使」が有名ですが、
これはまた別の種類の映画という感じです。

召使 [DVD]/ダーク・ボガード,ジェームズ・フォックス,サラ・マイルズ

¥3,990
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「三人の女」で、唯一、不満があるとすれば、
美術です。
でも、これは個人的な趣味の問題かもしれません。

夢(夜に見る夢)のような映画を撮るのは、
至難の業だと思いますが、
「三人の女」はかなり成功していると思います。
といっても、荒唐無稽とか、幻想的とか、
そういうことではなく、
夢のように、理屈抜きで、直接に感情に響いてくる、
ヒリヒリした感じがあります。
たとえば、夢の中に出てきた化け物が、
どんな化け物なのかはよくわからないのに、
すごく恐ろしいものであるということだけは、
とてもよくわかるときのように。

私はこの「三人の女」を昔、
今はもうとっくに閉館になっている、
キネカ筑波で観ました。

ミニシアター系は、
もてはやされたり、
批判されたりして、
今は存続の危機にひんしていますが、
こういう、
一般の映画館では上映してもらえないような新作を観るには、
とてもありがたいところでした。

ミニシアターがなかったら、
出会えなかっただろう作品の中に、
「出会えてなかったら、大変なことだった!」
と思える作品が多数あります。

ミニシアター系の映画館も、
どうか残っていってほしいと願っています。