『光る君へ』
第21話
「枕草子」誕生のシーンには涙、涙でした。
『春はあけぼの・・・』で泣く日が来ようとは。
帝の御子を宿しながら
実家である中の関白家の崩壊に
世をはかなみ出家した
悲しき中宮の心に
ひと時、さわやかな風が吹き渡るように
それだけを願って
美しく
軽やかに
思わずくすっと笑えるように
・・・・・
『光る君へ』を
見ている高校生は幸せだと思う。
古文の先生は質問攻めにあったりして
「あれは~ドラマですからね。創作ですよ~。」と
辟易として繰り返しているだろう。
どこまでが史実で
どの部分は史実との整合性をとりつつも創作なのか。
この部分はまるっと創作なのか。
知ろうとすれば
いくらでも知ることが出来る。
『光る君へ』で開かれた扉の向こうに
平安文学の世界が広がっているとは
なんと素敵なことだろう。
高校時代、
古文、苦手だったし好きではなかった。
カ行変格活用、係り結び、体言止め・・・
テスト問題はいつも文法の問題ばかり。
それこそが「学問」なのはわかるけれど、
内容に興味を抱かせるものではなかった。
「枕草子」の現代語訳を読んだのは
いい大人になってからだが、
これが実に面白い。
1000年読み継がれてきたのも納得する。
男女の仲のこともいろいろと出てくるので
そういう部分は高校の教科書に抜粋できないのも
わかる(笑)。
「春はあけぼの・・・」と
清少納言が書き下ろすシーンは
ファーストサマーウイカさんの直筆だったという。
達筆。
もう脳内清少納言はこの人!
(ここまで脳内イメージと重なるのは
『鎌倉殿の13人』の北条政子/小池栄子、以来だわ。)
このドラマではまひろも道長も、
文字を書くシーンは手元吹き替えではなく
俳優さん自身が実際に書いていて、
書いた文字をそのまま使っている。
鎌倉、戦国時代のドラマなら
乗馬、弓、殺陣の特訓を受けるのと同じように
平安貴族を演じるのだから「流麗に文字を書く」は
演じる以前の
各キャラクターの初期設定だともいえるけれど、
PCでパチパチ、スマホでささっという生活に慣れきった身には
墨をすり筆をとり文字を書くという所作が
これほど美しいものだったかと
あらためて思わされる。