もう一度見たい展覧会 | 華月洞からのたより

華月洞からのたより

ひとこと多い華月(かげつ)のこだわり

 

今の気分は圧倒的に、これ。

『和様の書』(2013(平成25)年)

 

(タイトルの「の」の字は

豊臣秀吉の直筆文字が使われています。)

 

出展150件のうち国宝・重要文化財が80件。

 

私の中では『きもの展』と双璧を成す

圧倒的な展覧会でした。

(図録も『きもの展』のものと同じくらいのボリュームで

会場でさんざん迷って買わなかった。後悔。)

 

 

三跡と呼ばれる

小野道風、藤原佐理、藤原行成(『光る君へ』でおなじみ)の

名筆、四大手鑑(てかがみ)、

信長・秀吉・家康「三英傑」の書

平清盛が奉納した経巻、など。

 

(●は国宝)

出典目録の一部ですが、公任くんの書も国宝。

 

 

藤原道長の『御堂関白記』のインパクトは絶大でした。

道長が誰に見せるためでもない個人の日記として、

その日にあったことを淡々と書き続けたものです。

 

書の知識のないそのへんの現代人華月が

普通に読めることが、まず衝撃でした。

 

『何月何日、どこどこへ行った。何時頃着。

何寺に宿泊、いくら寄進した。』

 

・・・みたいな内容。

 

「え、何これ?」

『この世をば・・・』の、あの道長ですよ。

あまりにも平安貴族のイメージとかけ離れていて呆然。

一番近い文面は、中高時代の週番日誌、あれです。

 

道長は

誰かに丸投げしないで、かなり細かいことまで

自分がきっちり掌握していたかった人で、

お公家さんらしい「良きにはからえ」思考とは真逆の、

実務能力の高いリアリストだったのではなかろうか。

だからこそ権力を掌握できたのではないか、と思いました。

 

文字もですね、

「入り」も「止め」も「はらい」も、

ぼわっとしていて、

あまり上手いとは思えない。

日記ですから、本気出して書いてないのは大前提ですが、

現代人が書道習って

「小筆で書くことに慣れてきたかなー」と

感じられるレベル、みたいな(あくまで想像)。

 

 

・・・・この印象が『光る君へ』の道長役・柄本佑さんが

『道長』として書いている文字と重なるのです。

 

柄本さん、撮影に入る前に

『御堂関白記』をご覧になったそうですが

さすがの感性ですね。

道長の文字から感じたものを

自分の身体を通してアウトプット出来る・・・

柄本さんの能力は凄いです。

 

 

(神田橋さん、根元知さんの記事の貼り付け、ありがとうございました)