ちょっと時間が経ってしまいましたが、1月12日に浅草歌舞伎、2度目の通しをしてまいりました。


翌日から愛之助さんは二日間、インフルエンザのため休演されましたので、

この日もすでに体調がお悪く、かなりの高熱が出ておられたはず。

(秀太郎さんによりますと、40度を超えていたとか。)

そんなこととは露知らずに、拝見しておりましたが、声も動きも、私が拝見いたしました限りでは、

不調さなど微塵も感じさせない、プロの舞台でした。


↓浅草公会堂前のスターの広場には、1月3日に亡くなられた中村富十郎さんへの献花が。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)

↓手前の献花は、昨年12月28日に亡くなられた高峰秀子さんへのもの。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓遅ればせながら、タイムスケジュール。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓この日は3階上手側の最後列でしたが、ご覧のとおり、花道以外はよく見えました。歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓花道脇には、当日券で売り出される補助席が。当日券は、毎日朝10時から、昼の部と夜の部同時に発売になります。(窓口は、昼と夜とでわかれています。)料金は9000円。最初に売れ残っている席を販売し、それがなくなったら、花道脇の補助席が売りに出されるのだそうです。どうしても見たい、という方は、少し早目に行って並べば、問題なく見られそうでした。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)

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新春浅草歌舞伎

平成23年1月2日(日)~26日(水)


1月12日(水) 昼の部 11時開演


お年玉〈年始ご挨拶〉

中村亀鶴


一、三人吉三巴白浪

   お嬢吉三  中村 七之助
   お坊吉三  市川 亀治郎
伝吉娘おとせ  坂東 新 悟
 手代十三郎  中村 亀 鶴
  和尚吉三  片岡 愛之助


二、猿翁十種の内 独楽

独楽売萬作  市川 亀治郎

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お年玉〈年始ご挨拶〉

亀鶴さん、眼鏡をかけてのご登場。中日も近くなり、役者たちも人間なので疲れも溜まり、

自分ももうボロボロです・・・ というようなことをおっしゃっておいででした。

きっとこの時点では代役を勤めることが決定しており、その稽古も大変だったのでしょうね。


今回も、マイクを持って客席に下りられ、七之助クイズを出しておられました。

内容は2日に拝見したときと同じでした。

客席に下りられた間に、お客さんに引っ張られたのか、羽織の紐の部分が片方とれてしまい、

ぶらんとぶらさがった状態になったのを気にされながらのご挨拶でした。

この紐、羽織に縫い付けてあるのではなく、好感できるように金具で装着されているようですね。


一、三人吉三巴白浪

この日のお客様は、「歌舞伎は初めて」という団体客の方が多かったようで、客席に反応がとても新鮮でした。

夜の部のレポートで具体的に書かせていただきますが、初々しかったですね。


カットした部分を澤村國矢さんが説明しに登場される場面ですが、前回初めて拝見しましたときは、

10分どころか、15分くらいの長丁場のように感じたのですが、今回、時計を見て見ましたら、ほんの7分ほどでした。

こういった説明は、2~3分を越えると、見ている方は「長いな」と感じてしまうようです。


二、猿翁十種の内 独楽

亀治郎さんは、手がキレイですね!手の動きが、しなやかで美しい。親指の長さが印象的でした。

身のこなしが軽く、キレもよく、なめらかでブレない。とても爽やかな踊りを見せていただきました。

以前、澤瀉屋の猿紫さん が舞踊会でこの「独楽」を踊られましたが、どのように踊られたのだろうと

想像をめぐらせてしまいました。



夜の部につづく。




引き続きまして、夜の部のレポートです。


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新春浅草歌舞伎

平成23年1月2日(日)~26日(水)


1月2日(日) 夜の部 15時開演


お年玉〈年始ご挨拶〉

市川亀治郎


一、壺坂霊験記

座頭沢市  片岡 愛之助
女房お里  中村 七之助


二、猿之助四十八撰の内 黒手組曲輪達引

   忍岡道行より
   三浦屋裏手水入りまで
    浄瑠璃「忍岡恋曲者」
   市川亀治郎三役早替りにて相勤め申し候


番頭権九郎/牛若伝次/花川戸助六  市川 亀治郎
三浦屋揚巻  中村 七之助
同 新造白玉  市川 春 猿
白酒売新兵衛  市川 寿 猿
三浦屋女房お仲  市川 笑三郎
鳥居新左衛門  中村 亀 鶴
紀伊国屋文左衛門  片岡 愛之助
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歌舞伎見人(かぶきみるひと)


お年玉〈年始ご挨拶〉

市川亀治郎


亀治郎さんの年始ご挨拶は、昼の部の亀鶴さんのようにマイクをもって普通のトークをされるということもなく、

緋毛氈の上に座られたまま、マイクを使わず、始終口上らしい口調でのお話でしたが、

話されている内容はけっこう愉快なもので、イヤフォンガイドやプログラムの宣伝も巧みに織り込まれて

おりました。(詳しいことはここではすべて申しませんが、プログラムをご覧いただければ、よーくわかるように

なっております、など。)


また、黒手組の助六での水入りについてのお話がけっこう長かったのですが、

冬なので、死ぬほど寒いのだそうです。稽古のときにも実際に水に浸かってみたら、そのときは寒々とした

客席だったので、なおのこと寒かった。今日は大勢のお客さんがいらっしゃるので、ぜひともお客様の熱気で

温めていただきたい、とのことでした。




一、壺坂霊験記

これまで拝見したお里は、どの方が演じられた場合でも、非常に優しく健気な女房でしたが、

七之助さんのお里は、それに加えて、とても明るく、太陽のような快活さを持ち合わせたお里でした。

弱気でクヨクヨ悩む夫を、明るく励ますパワーを持った女性で、ただ優しく従順で貞節というわけではない、

個性ある女性のように見ていて感じましたまた見たいなあ、と思わせてくれる魅力がありました。


愛之助さんの沢市は、上方流なのか、おかしみのあるキャラクターで、後半、とても愛らしかったですね。

あれ、こんなひょうきんな役だったかな、と。



二、猿之助四十八撰の内 黒手組曲輪達引

「助六」のパロディ満載のこの演目、笑いどころがあちこちに隠されていて、見終わった後とても

気持ちよく家路につけるお芝居でした。


忍岡道行の場では、春猿さん演じる白玉のつれない様子が、笑いを誘っていましたし、

この場面でのお楽しみといえば、白玉に逃げられ、金も奪われた番頭権九郎が、「どうしたものか」と

思案して、「そうじゃ!」と、時流に乗った入れごとを披露してくれるところかと思いますが、

初日のこの日は、「わしがこの間、龍馬伝で斬った福山雅治が全国ツアーに出るらしいから、

わしにそっくりの従兄に頼んで、バックコーラスにいれてもらおう」と言うと、権九郎は舞台の上の

小道具をあれこれ持ってきて組み立てて、スタンドマイクにギターを首からぶらさげた姿となり、

照明がぐるぐるまわり、福山雅治の曲が流れてきて、ライブのようになりました。

(権九郎は口パク。)場内、大いに沸きました。(笑)


この入れごと、毎日変わるわけではないと思いますが、新しいネタが披露された暁には、

ぜひ皆様の目撃談お聞かせいただきたく思います。


二幕目の新吉原仲之町の場では、股くぐりのパロディがありますが、白酒売りの股をくぐる場面ははなく、

助六の股くぐりのみでした。くぐるとき、朝顔仙平を始めとする鳥居新左衛門の門弟たちは、

それぞれ何か面白いことを言ってから股をくぐるのですが、十八番助六のネタを彷彿とさせるものもあれば、

オリジナルのものもありました。


愛之助さん演じる紀伊国屋文左衛門、出番はこの場だけでして、貫録があり、教養と人望も備えた文化人の

雰囲気がよく出ていたと思います。


大詰の三浦屋格子先では、笑三郎さんの三浦屋女房お仲が、個人的に一番の眼目でした。(笑)

先月の南座は、出番は多かったですが、しどころの少ない役でしたから、短い出番でも、

今回のようなお役で拝見できますのは、大変嬉しいことでした。


そして、本来の一番の眼目である、助六の水入りですが、去年新橋演舞場で海老蔵さんが演じられたときと

ほぼ同じとご想像いただければよろしいかと思います。

水入りがあるからなのか、助六の頃には、場内の暖房がかなり効いていたように思ったのですが、

お客さんの熱気だったのでしょうか!?

助六が水に浸かるときや、水から上がった後は、ヤンヤヤンヤの拍手が沸き起こりました。

亀治郎さん、お風邪を召されませんように!



イヤフォンガイド

夜の部のイヤフォンガイドで印象に残りましたのは、

【亀治郎さん】

亀とウサギ(?)と、どちらがお好きかという質問に対して、動物は嫌いだとおっしゃっていました。

敢えて選ぶならやはり亀。それも海ガメだ、とおっしゃっていたように思いますが、記憶不確かです・・・


【七之助さん】

物欲がないそうで、家族が自分のものを勝手に使っていたとしても、「あ、使ってるな~」程度にしか思わない。

逆に、自分もその感覚で家族のものを借りることがあり、例えば兄とはほとんど体型が同じなので、

今日の服装にあった靴を兄が持っていれば、それを借りたりします、とのこと。


【亀鶴さん】

(昨年のイヤフォンガイドの質問コーナーで、理想の女性はティンカーベルと答えたそうですが、

という質問に対して、)

ティンカーベルはピーターパンのことが大好きで、ウェンディにやきもちを焼くところもかわいいし、

最後はピーターパンのために死んでいくところも愛らしい、とのこと。

ディズニー好きだが、キャラクターが好きというより、ウォルト・ディズニーという人が好き、彼が成し遂げた

ことが好きだそう。


【愛之助さん】

(今、カッコいい車に乗っておられますが、10年後はどうされるんですか?との質問に、)

10年後はエコカーに乗っていると思う。興味があるし、乗ってみたい。でも、体は一つしかないので、

今のところは今の車でいい。



終演後、浅草寺に初詣に行ってきました。(昼間はものすごい人出で、近づけなかったのです。)


↓夜の仲見世通りを本堂へ。この仲見世通り、普段は18時くらいでほとんどの店が閉店してしまうのですが、

この日は遅くまでどの店も営業していました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓この仲見世通りで、私が一押しも二押しもしたいお店が、こちらの鞄屋さん、「れんがや」さん。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)
既製品の鞄だけでなく、お店のご主人がデザインされた、オリジナルの革の鞄がそろっていまして、

それがまた、いい仕事してらっしゃるのです!

デザインと機能性を兼ね備えた、ご主人のこだわりと愛情が感じられる商品がそろっています。

革製品がお好きな方なら、思わず足が止まって見とれてしまうような鞄がたくさん。

私も一度、観光でふらっと立ち寄りましたときに、チラッと見たこちらの鞄が忘れられなくて、

後日あらためて買いに行ったことがあります。

商品の写真をご覧になりたい方は、コチラ をどうぞ。



↓ぐんぐん本堂へ近づいていきますと・・・
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓左手にあらわれるこのお店にご注目!
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓羽子板のお店なのですが、注目していただきたいのは右下の・・・

歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓コレです!! 色紙にサインとは、ずいぶん用意のよろしいお店で・・・

歌舞伎見人(かぶきみるひと)

↓ちなみに、本堂向かって右手の店では、「歌舞伎押絵羽子板」が売られていました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓本堂手前。両脇に、おみくじやお守りを売る棟があります。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓左を見ると、五重塔がライトアップされています。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓本堂の前には、助六でおなじみの天水桶の豪華版。

歌舞伎見人(かぶきみるひと)

↓仲見世通りを雷門の方へ戻りますと、入口あたりに浅草歌舞伎出演者の看板が飾られていました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓最後にもう一軒、おすすめのお店をご紹介します。

雷門のすぐ右にあります、和紙の店、黒田屋本店。店内左手は、和紙で作られた定番の浅草土産が並んで

いますが、右手には、職人が手掛けた型染めの和紙が種類豊富に売られています。

サイズも柄も豊富で、私はよくここで買って帰った和紙をブックカバーとして使っています。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


浅草歌舞伎のついでに、よろしければちょいとのぞいてみてくださいませ。


おしまい。

新春浅草歌舞伎の初日を見に行ってまいりました。

去年はまだ歌舞伎を見始めたばかりで、浅草歌舞伎は見に来ませんでしたので、

私にとりまして初めての浅草歌舞伎です。


雷門は、初詣のお客さんで大賑わい!

雷門から本堂への参詣道=仲見世通りは、一歩一歩進むようなありさまで、

交通規制のため、他の通りからは仲見世通りに入れないようになっていたようです。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)

雷門に向かって左手方向に、雷門通りを歩いていきますと、こんなところにも、新春浅草歌舞伎の案内が。

ポスターはそれこそ浅草の街中いたる所に貼られていました。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


到着しました、浅草公会堂!

歌舞伎見人(かぶきみるひと)


歌舞伎見人(かぶきみるひと)

歌舞伎見人(かぶきみるひと)

歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓公会堂内のホールで、物販展が開かれていました。幕間のおやつはここで調達できますね。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)

さあ、入ってみましょう。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)

劇場内ロビーは、こんな具合にすごい人でした!筋書きは2階の一か所でのみ販売していたようで、

長蛇の列が。

後で買えばいいか、と思っていましたら、幕間に売り子さんが客席まで売りに来られたので席で買えました。

海外の劇場みたいですね。

海外と違うのは、売り子さんがプログラムだけでなく、お菓子なども売ってまわっておられたことですね。



歌舞伎見人(かぶきみるひと)

↑この2階ロビーには、お弁当やら、お菓子やら、それから歌舞伎座の物販コーナーやら、舞台写真に

ブロマイドも販売していました。舞台写真は、出演者の過去の舞台写真で、愛之助さんの外郎売の写真も

ありましたから、東京のファンの方は喜ばれたことでしょうね。

また、ブロマイドは、今回のポスターに使われている、愛之助さん、亀鶴さん、七之助さん、亀治郎さんの

スーツ姿の全身像、ならびに、アップの写真がありました。

それから、「歌舞伎手帖2011」が発売になっていましたので、早速購入しました!



はい、今日も3階席です。(笑)

それにしましても、浅草歌舞伎は3階席2000円、驚きの安さですねえ。

花道はよく見えませんでしたが、舞台はよく見えました。

歌舞伎見人(かぶきみるひと)



そうそう、公会堂に入ってすぐ右手にチケット売り場がありますが、

ほとんどの公演が全カテゴリー売り切れになっていましたが、

朝の時点では当日券があったようです。

夜の部のときには、もう表示はありませんでしたが。

チケットはないが今日見たい!という場合は、朝早く行きさえすれば、見られそうです。


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新春浅草歌舞伎

平成23年1月2日(日)~26日(水)


1月2日(日) 昼の部 11時開演


お年玉〈年始ご挨拶〉

中村亀鶴


一、三人吉三巴白浪

序  幕 大川端庚申塚の場
二幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
     裏手墓地の場
      元の本堂の場
大  詰 本郷火の見櫓の場
     浄瑠璃「初櫓噂高音」


   お嬢吉三  中村 七之助
   お坊吉三  市川 亀治郎
伝吉娘おとせ  坂東 新 悟
 手代十三郎  中村 亀 鶴
  和尚吉三  片岡 愛之助


二、猿翁十種の内 独楽

独楽売萬作  市川 亀治郎

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今回の浅草歌舞伎、開演前と幕間の休憩時間に、出演者4名がイヤホンガイドに登場されます。

開演前は、4名全員の短いご挨拶を繰り返し放送しているそうですので、開演前もお聞き逃しなく。

また、公演プログラムとイヤホンガイドの両方を利用されたお客様には、抽選で4名様に

出演者のサイン入りポスターが贈られるプレゼント企画もありまして、この応募に必要な

キーワードが、開演前、幕間の放送時間に発表されますので、お聞き逃しなく。


ちなみに、この出演者のトークの内容は4パターンあるそうで、

昼の部と夜の部では違いますし、14日で別パターンに変わるそうです。

前半の昼と夜の放送分につきましては、後ほどレポートさせていただきます。



お年玉〈年始ご挨拶〉

中村亀鶴

当興行の年始ご挨拶トップバッターを勤められたのは、亀鶴さん。

羽織はかま姿で、幕前に敷かれた緋毛氈の上に両手をついて正座され、

いかにも歌舞伎の口上らしい口調で挨拶をされた後、

「さて、」と素に戻られてマイクを手に取られ、トークショーのように。

舞台から客席にひらりとおりられて、お客さんへの質問コーナーが始まりました。


なんでも、今回の年始ご挨拶、七之助さんはどうしても出演ができないとのことで、

(昼の部も夜の部も、すぐに出番が控えているからでしょうね。ということは、

 昼の部の年始ご挨拶に出演される愛之助さんや、夜の部の年始ご挨拶に出演される亀治郎さんは、

 口上の後、大急ぎで拵えをなさるということですね。)

七之助さんファンのみなさんごめんなさい、と断られた後で、この中に七之助さんのファンの方は

いらっしゃいますか?と、お客様に挙手を乞われ、前の方の席に座っておられた方に、

「七之助クイズ」を出されました。正解すると七之助さんからの記念品がもらえるとのこと。


出されたクイズは、(ちょっと記憶が定かではないので、違っておりましたらご指摘いただきたいのですが)

七之助さんの食べ物の好き嫌いや、子どもの頃勘太郎さんと一緒に初めて作ったお芝居のタイトル、

何代目の七之助か、、、というような質問だったと思います。

お隣の連れの方と相談しながら、見事全問正解されたそのお客様には、七之助さんのサイン入り手拭が

プレゼントされました。


亀鶴さんの軽快なトークが印象にのこる、年始ご挨拶でした。



一、三人吉三巴白浪


新悟さんのおとせ、七之助さんのお嬢吉三、亀治郎さんのお坊吉三、愛之助さんの和尚吉三、亀鶴さんの

十三郎という顔合わせ。


新悟さんは、口跡がいいですね~!声も艶やかですし、節回しの音色も豊かで。

新悟さん、お化粧を研究されたら、もっとかわいらしくなれると思います。今後楽しみな役者さんですね。


七之助さんのお嬢吉三は、いやはや、これが予想を上回る上々出来で良かったと思いました!

とても「格好の良い」、キリリとしたお嬢吉三に見えました。素の男に戻った時に、思いっきり男臭く演じたり、

あるいはあくまで女方の延長だったり、役者さんによって演じ方は様々ありますが、七之助さんのお嬢は

男に戻ったときは、キリッとした若者・・・といっても、男臭くはないのですが。新鮮で魅力的でした。

七之助さんご自身は、プログラムやイヤフォンガイドで語っておられるように、「あくまでの”女装”の

弁天小僧と違って、お嬢吉三は、自分の中に”女性”の部分もある」という解釈で演じておられるそうで。

お坊と一緒に死にたいとお嬢が訴える場面を踏まえての解釈と思いますが。

とにかく、とても魅力的なお嬢でした。


亀三郎さんのお坊は、坊っちゃんというより、もっと年もいって貫録のある浪人のように思えました。


愛之助さんの和尚は、貫録があって、兄貴分の雰囲気がよく出ていて、あの役にぴったりだったと思います。


最後に登場される亀鶴さんの十三郎は、女方の声に近い、若衆のような発声で、若々しさと艶やかさが

よかったですねえ。



さて、今回の三人吉三、通し狂言ではなく、人気の場を抜粋したものですが、序幕の大川端庚申塚の場から、

巣鴨吉祥院本堂の場まで一気に話が飛びまして、土左衛門伝吉も登場しないものですから、

スキップした部分の解説がどうしても必要だろうということで、芝居小屋の梅吉(だったと思うのですが)という

役で、澤村國矢さんが登場されまして、カットした部分のあらすじを滔々と説明されました。

軽く説明を、というには、あまりに長い部分を今回カットしていますから、國矢さんも、決められた台詞を

暗記して説明するというよりは、ご自分の知識の中から、ご自分の言葉で、説明をしておられるようでした。

が、とにかくあまりに長い話をわかるように説明しないといけませんので、2度ほど、「・・・(あれ?)」というような

沈黙の間がありました(笑)。おそらく、10分どころか、15分ほど、國矢さんのあらすじ説明が続いたのでは

ないかと思います。大役、本当に御苦労さまでした。まだ初日でしたから、これからどんどんこなれていかれる

ものと思います。



ところで、双子のおとせと十三郎が生まれたときに、父の伝吉は十三郎を捨て子に出しますが、

イヤフォンガイドの解説によりますと、昔は、双子とか三つ子とかいうのはタブーで、特に双子は、

「心中者の生まれ変わり」として嫌われたそうです。


ところで、「三人吉三」の作者、河竹黙阿弥は浅草に住んでいたので、

白波五人男の実寸大フィギュアが道端に飾られていたりと、いろいろ見どころがあります。

浅草初遠征の型は、ぜひご覧になられてはいかがでしょうか。(→過去記事はコチラ



昼の部 幕間のイヤフォンガイド

いくつか覚えていることを書き連ねさせていただきます。


【亀治郎】

(「お正月、ということで、どのようにお感じになられますか?」という質問に対して、)

特に感じることはない。ゆっくり休めるわけでもないので、自分にとってはただ日付が変わるだけのこと。


龍馬伝の撮影は、3日間だったが、昼間の別の仕事が終わった後に、撮影が夜始まって朝終わる、という

ハードスケジュールだった。


去年は12月に1ヶ月休みをいただいたが、最初は海外旅行でも、と思っていたが、

結局、インタビューだのなんだの仕事が入ってきてしまて、ほとんど仕事をして終わってしまった。

仕事が入らないよう、休みは海外に行くに限る。海外に住もうかと思っている。それなら急な仕事も入らない

だろうから。


【七之助】

今、相撲がマイブーム。お気に入りの力士は臥牙丸。大相撲中継をよく見ている。


兄嫁となった愛さんは、自分と同い年。サバサバした人で、食卓に華が一輪増えたようで嬉しい。

我が家にあった人だと思う。


お嬢吉三は、弁天小僧よりも女性的な部分をもった人物と解釈している。


【亀鶴】

(「超常的な力を持てたらどうしたい?」という質問に対して、)

魔法を使いたい。


【愛之助】

ホテル暮らしが多いので、ホテルで快適に生活することを目指しているが、最近プロジェクターを購入して

映画を部屋で見ている。プロジェクターって、もっと高価なものかと思っていたが、それほどでもなかった。

最近見た映画で面白かったのは「ソルト」。


(「おすすめの海外は?」という質問に対して)

海外に行ったことがあるのは、ハワイとオーストラリアだけなので、おすすめとか言えないが、

その中ではオーストラリアがよかった。


(「外郎売」で代役を演じることになって、プレッシャーはありましたか?」という質問に対して)

プレッシャーはなかった。ただ、お客様に粗相のないように勤めなくては、ということだけ思った。

プレッシャーって、感じたことがないし、何なのかもよくわからない。自分はただ挑戦するだけ。


(「iPhoneユーザーだそうですが、おすすめのアプリはありますか?」との質問に対して)

「ニンジャンプ」というアプリにはまっている。無料だし。楽屋でよくやっている。9000点が自分の最高得点。


(「彼女に、”歌舞伎と私、どっちが大事?”と聞かれたら何と答えますか?」との質問に対して)

「ばかやろう」です。比べるものじゃないので。



昼の部終演後、夜の部まで少し時間がありましたので、周辺をぶらぶら散策してみました。


↓伝法院通り 屋根の上には・・・
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓鼠小僧。
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓このものすごい行列は・・・
歌舞伎見人(かぶきみるひと)


↓天ぷらの大黒屋でした
歌舞伎見人(かぶきみるひと)

スカイツリーもどんどん伸びております。

歌舞伎見人(かぶきみるひと)


雷門通りで見つけたので、つい・・・
歌舞伎見人(かぶきみるひと)



昼の部のレポート、おしまい。