「はいじゃあ次の人どうぞ」
一番前に並んでいる人が部屋に入っていく。前を見るとまだあと100人はいる。あと何時間かかるんだろう。それを考えると少し気が重くなったが考えても仕方ないので考えるのはすぐにやめ、近くにある雲に腰かけた。僕はもうこの行列にかれこれ丸一日並んでいる。時計を持っているわけではないので正確には一日かはわからないのだが。
それからおそらく7,8時間ほど待った頃についに僕の目の前になった。
「次の方、どうぞ」
「あ、はい。」
少し緊張しながら扉を開けて中に入ると正面にスーツを着た金髪でくるくるパーマの青年と横にその秘書らしき人が座っていた。
「えー、斎藤…えーと、これはタカシさんでいいのかな?45歳会社員ですね」
「あっ、隆史と書いてタカフミといいます」
「失礼失礼。では斎藤隆史さん。どうぞおかけください」
「あっじゃあ失礼します」
「いきなりなのですが時間もあれなのでさっそく本題に入ろうと思うのですが、あなたはここがどこで、そしてあなたがなぜここにいるのか?はなんとなくわかっていますか?」
「あーはい。なんとなくは」
「気づかれましたか」
「なんとなくですけど」
「まぁこの景色見ればなんとなくわかりますよね」
天使は窓から外を眺めた。
「あとあなたを見てそういう所なんだなと」
「あれ?僕そんなに天使感出ています?」
「世間が思い描いている通りの見た目だと思いますよ」
「そうですか。おかしいな。羽はちゃんと隠してあるしスーツまで着ているのになー」
そういうと彼は首をかしげた。
「まあそれはいいですよ。しかし、わかっているなら話は早い。お察しの通りここは天国です。まぁ天界ともいいますが。そしてわたしは天使です。」
「天国…ですか?」
僕が素直に天国と思えなかったのはそこが天国というにはあまりに閉塞的というか自由な感覚がなかった事もあったが何よりこの私が天国にいけるとは思えなかったからだ。あんな事をしてしまった私が。
「一応天国です。一応天国なのですが、ここは言わば関所なんですよ。ここにいる人たちはわけありの人たちというか、つまり人間や人格としては問題なかった人たちなのですが、ちょっとしたミスによって天国に入るか審査することになった人たちが集まっています。あなたも心当たりはあると思いますけどね」
「そうですね」
「で、斎藤さんは天国に行きたいですか?」
「はい!それはもう!できる事なら」
「そうですか。じゃあもし可能であればやり直したいと?」
「は、はい!そんなことできるんですか?」
思わず大きい声がでた。