昔々、山の中のさらにその奥におじいさんとおばあさんが住んでいました。


35ですべての歯と髪が抜け落ち、今はすべて入れ歯にしているおじいさんはおばあさんに言いました。



 「最近は世の中も物騒になったもんだよほんとに。」


 「そうですか?」


 「わからんのかばあさん。まあばあさんはテレビを観んからな。わからんのじゃろう。」


 「最後に見たバラエティーはクイズダービーですからね。」



 「そんなことよりばあさん。最近、我々の神聖なみかん畑を荒らすやつがおるのを知っているかい?」


 「え!?!?そ、そうなのかい!!」


おばあさんは驚き、オーバーに後ろに倒れました。


 「ああ、最近わしが収穫しようとしたら木になっておったみかんがすべてなくなっておるのじゃ。」


 「はぁー!」


 「それが奇妙なことに木には実がぶら下がっておるのだが中の果肉といわれる部分だけが見事に抜かれておるのじゃ。」


 「なんですかそれは!」


 「警察にも届けたんじゃが警察はわからんと言って何もせんのじゃ。だからな、今夜わしは犯人を突き止めるために畑に泊り込もうとおもっとるんじゃ。」


 「気をつけてくださいよ。もう若くないんですから。」


 「安心しろ!こうみえてもわしはなかなかやるぞ。」


普段から早寝早起きの二人の眠気は夕方にはピークに達していたがジェンガ等をしながら眠気をごまかしごまかし、夜が来るのを待ちました。


夜になり、おじいさんは手に木の棒と畑の地図を持って畑の中に待機していました。


 「よーし!今日こそはにっくき畑泥棒をとっつかまえてやるわ!」


おじいさんは相当意気込んでいました。しかし、先ほどしていたジェンガで相当神経を使っていたおじいさんは知らない間に眠ってしまいました


 「よっしゃー!!勝った勝った!!」


おじいさんは夢を見ていました。自分の寝言で起きたおじいさんは


 「いかんいかん、しっかり見張っておかなければ!!」


その時です。向こうにがさがさと動く何かがあり、おじいさんは目でそれをとらえました。


 「来たな畑泥棒め!!ぬけぬけと!よーし!貴様の悪事も今日限りじゃ。今日こそとっつかまえてやる!!」


おじいさんはゆっくりと近づき思い切って持っていた木の棒を思い切り振り下ろしました。


 「おりゃーー!!」


ドン!!という音と共に目の前に何かが倒れました。


 「ははははは!!ざまーみろ!!貴様の顔、拝んでやるわ!」


そう言いながら犯人の顔をよく見るとそれはおばあさんでした。


 「ばあさん!!!!なぜこんなことに!!」


ばあさんは死んでいました。おじいさんはおばあさんを抱きかかえわーわーと泣きました。


おじいさんは一通り泣いた後、冷静になってよく見るとおばあさんのおでこと髪の間に不自然な隙間がありました。おそるおそる隙間に指をいれ、開いてみるとおばあさんはかつらでした。


 「わー!!なんじゃこりゃー!!」


おじいさんは驚いてかつらを投げ捨てました。きれいな放物線を描いて地面に落ちたそれは、ころりと転がりました。その時、かつらからひらひらと一枚の紙がでてきました。


おじいさんはそれを手に取り見てみるとそこには【PON 090-○×○×-○×○×】と書かれた紙が出てきました。おじいさんは考えましたが全くわからず翌朝電話してみることにしました。


 「よーし、ばあさんの遺言に関係しているのかもしれないからな。」

すると、二回鳴らしたところで若い男が出ました。


 「はい、杉本です。」


若い男というのは意外でおじいさんは少しひるんだが気を持ち直し聞きました。


 「もしもし、あのー、三浦ヨネをご存知でしょうか?私ヨネの夫なのですが。」


 「あー三浦ヨネさんなら知ってますよ。いろいろお世話になりましたからね。」


若い男はたんたんとした口調で答えました。


 「あのーそちらさんとはどういった事で?」


おじいさんはこの男とおばあさんのつながりが全く予想できなかった。


 「あー仕事のことで少しお世話になったんですよ。」


おじいさんはおばあさんがほかに仕事をしていることなど聞いたことがなかったのでますますわけがわからなかった。


 「で、どういったお仕事をしているのでしょうか?」


 「あのーポンジュースを知っていますか?あのみかんの。あの販売をしているんですよ。」


おじいさんはここまできてもポンジュースとおばあさんがどういう関係か全くわからなかったのでおじいさんは聞いた。


 「それでいったいヨネは何を?」


 「みかんを売っていただいていたんです。今年はこの業界の不作で大変助かりました。」


その瞬間、おじいさんの中ですべてがつながった。

おばあさんはこっそり畑からみかんの果肉を盗み出し、ポンジュースに売っていたのだ。それを自分のかつら代にあてていたのだ。確かにそうでもしなければ貧しい暮らしのおばあさんがかつらなど買えるわけがなかった。



すべてを知ったおじいさんは黙って受話器を置いた。