
絵画『海の精霊』
徳村慎
海の精霊だ。
大人の身体と子供の頭を持つアンバランスさがとても気に入っている。
海は女性であるのか。
難しい。
海の中に無数の女性が居て、男性も居る気がするから。しかし、波は女性的な存在だ。
1人というのは、極めて男性的な絵画ではないかと思う。
とここまで書いて、描いたものに少し手を加えた。
女性的な絵画へと接近させたかったからだ。海の波しぶき。そして精霊の輪郭を強調していく。
顔を描きながら、ONE PIECEのボア・ハンコックみたいな額だと思う。美人の秀でた額。全ての男がひれ伏すような美人か。それはとても良い。顔の比率的には童顔が漫画的な美人を生む。だとすれば、ロリータこそが美人なのか。
海の精霊はこちらを見ている。
無表情に、何も考えずに。
なるほど、僕の絵画によるロリコン魂は、ロリータへの恐怖であるのかも知れない。美への恐れが、美術である。
眠りは浅く、あくまでも浅く。
夢で会う人々は、波しぶきと化して。
そうであれば、波しぶきこそが主体で、精霊はどうでも良いのかも知れない。
白く。あくまでも白い裸体。白い憎悪について白鯨に書いてあった。気味の悪い白さ。では、黒髪は、優しさか?
とんでもない。
黒髪は蛇のようににらむ。
海の精霊は静かににらむ。