
絵画『生前と死後の平行世界』
徳村慎
生前と死後の平行世界とは、なんぞや?
まあ、何かは分からないのだが、インターネットで記事を読んでた。死後の世界について。天寿をまっとうしたら、天国に行けるらしい。じゃあ、お婆ちゃんも天国に居るのかな?……そうだといいな。
死後の世界のことを読みながら、いつもやる空想をした。守護霊になって家族を儲けさせるというものだ。守護霊になって楽器を弾いたらTVで話題にならないか?……なんて考えたのだ。TV出演料で、なんとか家族を儲けさせたい。なんて空想だ。死んだ僕への貢物(お供え物)は、楽器でいい。
こんなことを考えた後で描いた絵は、やはり天国のような、この世のような、平行世界のようなものになった。何を描いたのか自分でも良くは分からない。
精子と卵を描いたのだが、いや、これは円相なのだ、とも言えるようなものになった。苔の花(胞子嚢)、ライオン、カタツムリ、鳥、被子植物、柱状節理、人間、槍をもった人間、頭蓋骨、魚、月と太陽。
まるで、昔見たものみの塔(エホバの証人)のパンフレットのようだ。あの頃は、まだ、小学生だった。そんな僕が天国のイメージを植え付けられたのは、あのパンフレットかも知れない。
けれども卵子(円相)なのである。全てをスルーしなさい、という禅なのである。全ての宗教は、なんらかの尊さがある、と思っていたあの頃。今でも、そんなに変わらない想いで居る。でも、果たして禅は宗教だろうか?……スルーするということは、究極の悟りであると同時に、現世利益の否定でもあるような気がする。だからこそ禅は全ての宗教の上に立つ気がする。
僕は今日、寺に行ったのだった。そんなことも絵に影響しているのかも知れない。極楽とは、この世のことであるか?……難しい問いではある。しかし、スルーすれば、この世は極楽なのかも知れない。