
絵画『月に誘われて』
徳村慎
フロイト先生に言わせれば、月が女性で蛇が男性なのだろう。
原子のような太陽が2つの惑星を従えて。腹が減ってることも関係してか、前の描いた絵と同じものを描いている。前と違うのは、得体の知れないものが減ったということか。それに、真っ暗闇の夜をイメージしている点か。
月とは何か?
本当に女性か?
実は僕の内面の女性的な心理かも知れない。夜は女を美しくする。では蛇だって女なのではないか?
しかし、そんな女を社会(男)が求めて形作られたのかも知れない。
1人の男性を巡って争う女性のオロチたち。それは幻想だ。月を飲み込もうとするのだから、実はオロチたちは強いのだ。オロチの天下だ。
そしてオロチは再び男性にも見える。氾濫する川。いや、男女を超えた神か。熊野大水害。あれは怖かった。熊野川が氾濫した。人が大勢死んだ。
オロチは死者でもある。川が膨れ上がり、何もかもを押し流して、再び川に魚が戻るのに時間がかかったっけ。
神上に行く道が川にえぐり取られて、消えたっけ。あれは恐ろしい雨だった。集中豪雨が続いて。豪雨があんなに何日にも渡って降ることは、これまでに無かったのだ。川という川が氾濫して、あの大きな熊野川でさえ氾濫したのだから。
オロチ=氾濫する川、なのだ。
腹が減った。不安が腹を減らせるのだ。オロチの与えた不安を取り除く手っ取り早い方法は食べること。
じゃあ、バナナでも食べようかな?
バナナは黄色い月に似ている。