小説『惑星第546蜜柑』
徳村慎
巨大宇宙生命体ヤマネコルゲの歯牙から逃れた我々パンダ探検隊(2名で構成される)の宇宙船シャーぺシーンが、太陽光発電によるエネルギー回復のために降り立った惑星は第546蜜柑(みかん)だった。
カバ隊員がパンダ隊長に尋ねる。「ここは、どんな星なんですか?」
「ここ?……ここはね。ココアね。はい。ココア」とパンダ隊長はココアをいれた。
熱いココアをすすりながらカバ隊員が気付く。「あれは?……もしや文明?」
パンダ隊長は答える。「古代文明。ぶんめ~ぃ。ぶんめ~」
カバ「ヤギの鳴き真似はやめて下さい」
パンダ「やめてとめてやめてとめて。とめ~ないでぇ~♫」
カバ「舘ひろしの『泣かないで』っぽく歌わないで下さいよ、隊長」
パンダ「ヒロシです。カバヒポタに妹が居ないかどうか確認したとです」
カバ「男は獣だね」
パンダ「もののぉ~けぇたちぃ~だけぇ~」
カバ「いや、物の怪(け)ではなく獣です」
パンダ「けだものだもの」
カバ「果物だもの、みたいです」
パンダ「バナナっ。僕の下半身がっ。バナナっっ!」
カバ「下ネタは、やめて下さい」
パンダ「ミカンも2つ。スティーヴン・キングの小説にあったよね。『ゴールデンボール』」
カバ「いや、『ゴールデンボーイ』ですよ!……少年と元ナチスの話です」
パンダ「少年とナースの話か。病院ってシチュエーションがたまらん。じゅるる」
カバ「ヨダレは拭(ふ)いて下さい。看護婦ではないです。旧ドイツ軍のナチスドイツですよ」
パンダ「都々逸(どどいつ)だって?……君も古いねぇ。見掛けによらず」
カバ「違います。古いのは貴方(あなた)です」
パンダ「あのかーねーをぉ~鳴らすのは~」
カバ「歌わないで下さい」
パンダ「You wanna death . Could you sine?」
カバ「歌わないで下さいっぽく、訳の分からないデタラメな英語はやめて下さい」
パンダ「ラメ入りグロスぬりぬり。パクパク。アイライナーきゅっきゅっ。つけまパツパツ」
カバ「女子だったんッスか?」
パンダ「しかし、アレだね。ピラミッドが建っておるね」
カバ「話を戻しましたね。ええ。『神々の指紋』みたいな」
パンダ「神々のシーモンキーか。ハービーハンコックかね?」
カバ「グラハム・ハンコック『神々の指紋』です。ハービー・ハンコックはジャズピアニストですよ。因(ちな)みにシーモンキーはプランクトンみたいな奴じゃなかったかと」
パンダ「あっUFOが入って行く」
カバ「やはり宇宙人の基地だったんですね」
パンダ「ゆーふぉっ。ジャカジャ、ジャン、ジャン、ジャン。ジャカジャ、ジャン、ジャン、ジャン」
カバ「古い歌ですよね?……あっ。レーザービームを撃って来ました。逃げましょう」
パンダ「しぃ~せんのレーザービームでぇえッ」
ばしゅっ。パンダはレーザーに当たって黒焦げになる。
カバ「死んじゃ嫌だあァぁああああああああァっ!」
パンダ「ぱかっ。(左手で頭のフタを開ける)ピヨピヨ。(右手でヒヨコの真似をする)ぱかっ。(左手で頭のフタを閉じる)」
カバ「死んでないんですかッ?(大泣き)」
パンダ「良い感じにこんがり焼けたゼ。ほらサングラスの跡までくっきり」
カバ「あっ。サングラスを外すとシロクマになるのか!」
もう一度レーザービームがパンダに当たる。
パンダ「なんじゃこりゃぁあああああっっ」
カバ「太陽にほえろ、ですか?」
UFOが近づく。空に何かの文字を書いている。
パンダ「何か空に文字を書いておるな」
カバ「えっと……アレは……ロリ巨乳大好き♡……ですね(汗)」
パンダ「わしも好きじゃぁああああいッ!(大声で叫ぶ)」
UFOから宇宙人が降りて来る。
宇宙人「アナタもロリ巨乳好キカ?……アナタ良イ宇宙人ダヨ」
パンダ「もちろんです。世界の平和の半分はロリ巨乳、半分は優しさで出来ていますから」
カバ「バファリンみたいなっっ!」
宇宙人とパンダは握手をする。
宇宙人「惑星ソープに可愛イ子イッパイイルヨ」
パンダ「行きましょう。世界の平和のためにソープの国へ」
カバ「いや、惑星ソープでしょッ!……ってか、どっちでも良いか。俺も連れてってぇ~!」
UFOに連れられて宇宙船シャーペシーンは次なる目的地、惑星ソープへと旅立った。……と思ったら巨大宇宙生命体ヤマネコルゲに食べられたのだった。
(了)
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