図書室にやって来た桜。
そっぽを向いて読書する泉。
「泉ちゃん。ゴメン。さっきはゴメン。本当にゴメン。私、何(なん)かアセッとるんよ。アサミのバンドとのバトルにさ。アサミも自分の友達集めてライブに来(こ)させようとしやるし。私のツテじゃ友達全然居(お)らんしさ。何(なん)か負けそうな気がしてきて…」
「桜ちゃん、次コンタクトにせえ、とか言ったら、もうバンドは解散するからね」
「本当ゴメン」
「でも、ひとつ言っとくけど、アサミー・メイデンと比べるのは間違っとるよ。桜ちゃんのライバルはあくまでも杏ちゃんでしょ。それに、みんなジャンル違うしさ。アサミー・メイデンはメタルやし、杏ちゃんはジャズ。私らの音楽はテクノやし。もっと自分らしさを出してかなアカンのとちゃう?杏ちゃんも言ってたしね。自信を見せつけるのが音楽だって」
「そうやね。泉ちゃんの言う通りやわ」
「じゃあ、さあ。杏ちゃんの練習見に行かへん?空き教室でやりやるってさ」
「えー?」
「新しい刺激受けた方がええって」