5月になった。
美術室。桜が美智の所へ駆け寄る。
「美智ィー。テクノ・アッシャー解散かもしれん」
「ええ?アサミー・メイデンに負けたん?」
「違うよ。それは師匠が引き分けって言ってさァ。本当は私らが勝っとるのに」
「じゃあ、何(なん)でテクノ・アッシャーが解散なん?」
「泉ちゃんとケンカになって」
「ハハァン。桜ちゃん口悪いからな」
「実は、そうなんやよ。泉ちゃんがね。眼鏡を外してレンズ拭きやったんよ。そしたら意外に美人なんよ。でね、泉ちゃんに眼鏡はダサいからコンタクトにしたら?って言うたら、泉ちゃん、ブチキレて」
「そりゃ桜ちゃんが悪いんやんか」
「でもね。ビジュアルも大切なんやよ。次アサミのバンドと対決する時には観客に多数決取らして、どっちが上手いか比べるんよ」
「正々堂々と音楽で戦いなさいよ」
「そうは言っても、インストゥルメンタルやし。ボーカル無いとアピール出来んかなって」
「アセるなや。もっと、じっくり取り組まな」
「じっくりって言われてもなァ」
山本が冷たく言う。「やっぱ性格悪いと何やってもアカンやん。中間テストも大丈夫か?」
「じゃかァし。デブ山。アンタだって大して私と変わらんぐらいやろ。勉強出来んでも、特技があれば、ええんやよ」
美智が、さとす。「桜ちゃん。泉にあやまりなよ?」
「ハーイ。分かったでござるゥー」