『テクノ×ギター女子』6 | まことアート・夢日記

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まことアート・夢日記、こと徳村慎/とくまこのブログ日記。
夢日記、メタ認知、俳句モドキ、詩、小説、音楽日記、ドローイング、デジタルペイント、コラージュ、写真など。2012.1.6.にブログをはじめる。統合失調症はもう20年ぐらい通院している。

桜と泉は公園で練習することにした。泉がネットで新しい技を見つけたという。


「まずDLY(ディレイ)モード。これはTEMPOとRECボタンを押しながら、電源をONにすると出来るんだよ。するとLENGTHっていう録音、再生の長さが最大8だったのが16にまで増やせる。しかもLENGTHをいじったのも録音される。…で、LENGTHを1にしてLEADの03番、テルミンの音を重ねる」


不思議なコードのループが出来ていく。


「それからLENGTH4でベースを入れるの」


タップして入れた、切れ切れのリズムのベースが鳴る。


ズクジャー。桜もギターで入ってくる。クラシックスタックの音が歪み系で気持ちいい。


「最後にPATTERN95でドラムを鳴らす」


ドツタツ、ドツタツ。8ビートがループする。タリラリタリラリ、タリラリタリラリ。桜のギターも正確な16分音符の速弾きでついていく。


「それから指を離すとドラムが消える」ドラムが消えると、桜はロングトーンで弾く。


「ええやん。そのロック」

いつの間にか、近くで聞いていたギターの天才少女、杏が言った。


「キャア!ビックリした。いつから居(お)ったんよ、アンタ?」


「ギターの速弾きの所から。桜ちゃん、中々スゴイやん。そんな小型の最新機器使える子とバンド組むなんてさ」


「カオシレーターの古いタイプなんですけど…」
と泉がボソッと言う。


そして泉は、DRUM80に切り換えてバスドラムとスネアで、ドンタン、ンドタンと変則的なビートを刻む。そこからさらにR&B系に持っていく。ドッンッタッンッ、ンッドッタドンッ。両手の指2本で叩きまくり、盛り上げておいて、静かになる。


LENGTHを4からh(1の半分)に変えて、フィルインを作って16にすると、hの部分もしっかり録音される。


バスドラムで和太鼓っぽくドンドド、ドンドドと叩く泉。ペンタトニックで日本風のメロディを奏でる桜。そしてエンディングは、また、ドラムの無い音楽。


「アンタらは、私らジャズトリオのライバルバンドやわ」と杏が言う。


桜が言う。
「そんな…レベルが違うやん」


「でも自信ありげに演奏してた。コレが自分たちの音楽なんやって。それが音楽じゃないん?自信を見せつけるのがさ」
杏はそう言って立ち去った。