フレット交換(Gibson SG Supreme) | Out on Highway 61

Out on Highway 61

当初の目的はお引越ししたので、模様替え。特に行くあてもなく…。
Cruisin' and playin' the radio with no particular place to go ~♪

続いて、昨年末に中古で購入したSGもフレット交換します…。

 

秋葉原にある大手の楽器店で、2005年製の製品を中古で購入し、販売にあたって、「擦り合わせ済み」と記載されていました。

 

これ、ヤフオクでしばらく出ていて、落札されなかったやつですが、ある時、買い取ったのか、委託販売かは知りませんが、その楽器店で売り出されていました。LIVEなどにも使用されていたようで、傷も多いのですが、価格が下がっていたので即購入。

尚、別色のLava Burstと表示されていましたが、これはFire Burstが正しいようです。

 

コロナ禍の影響で、楽器も高騰していて、コロナ禍前の値段を知っているだけに、なかなか買うのを控えていたのですが、SGで、ダイヤモンドインレイがあって、エボニー指板、つまり、SGカスタムを探していました。時々、お買い得なのがヤフオクなど出るのですが、落札価格は以前に比べると結構上がってしまいます。SGカスタムは、Customshop製になるので仕方ありません。

 

しかし、この時期のSG Supremeは、ダイヤモンドインレイ・エボニー指板の仕様なのに、レギュラーラインで製造されているので、評価がそこまで高くありません。24フレットというところはそんなに要らないのですが、2ピックアップなのは、3ピックアップのSGカスタムより使いやすい。メイプルがトップに貼ってある分、SGにしては重量はありますが、レスポールに比べれば、かなり軽量の3.2kgくらい。傷もあるけど、ある意味、気軽に使えるので、購入しました。

 

楽器店では、特に支障がなさそうでしたが、少し弦高を下げると、1弦2フレット、3弦1フレットは鳴らず、12フレット付近をチョーキングすると音が詰まります。なるほど、「擦り合わせ済み」というのは、「整備バッチリ」という意味ではなくて、「状態悪いのを何とかしてますよ」っていう意味が正しい解釈ですね。

 

ただ、Gibsonに詳しい増田さんのYoutube動画の推奨の弦高くらい下げると…ですけど。

要はそこまで下げなければ、普通に弾けます。

 

さて、ここで悩みます。

 

Gibsonなんて自分なんかが買えても買ってはいけないくらいに思っていた高校生の頃を思えば、中古のレギュラーライン製品といえども、Gibsonのギターを素人仕事でフレット交換ってどうなんだろ?

改めて弾いてみても、一応、問題なく弾けるのに…。

しかも、Gibsonのバインディングは、フレットエンドがオーバーバインディング処理になっていて、フレット交換するとこの処理はなくなる。

また、理由は知らないが、エボニー指板は難しいと聞く…。

 

…とここまで悩んでみましたが…。

 

ローコードなどが中心だったのか、偏ったフレットの減りをフレットのすり合わせでなんとか修正しているギターであることには違いなく、指板も歪みを感じるが、フレットの頭をできるだけ揃えているというのが、このギターでは?

 

…と思い、スケールの類を中国製で購入するのはなんか少し抵抗あるけど、やっぱりこれを購入してました。値段が10分の1だしね。

 

 

ノッチとかいうフレットをよける切込みがあって、FenderなどのロングスケールにもGibsonなどのショートスケールにも対応しています。

 

 

 

これと前回使ったシンワの鉄尺で指板やフレットをチェック。

 

道具もそろえたし、プレス機もフレットプレス用にカスタマイズしたし、やっぱりフレット交換しようと決断すると、即実行です。サウンドハウスで、前回と同じフレットを購入します。24本入りなのは、22フレット+予備2本という意味だと思いますが、Yamakiの時のが4本あるので、同じフレットなら24フレット仕様でも予備も用意できます。

 

まずは、ピックアップを外して、第1段階の養生をします。

エレキギターは、ここで一手間増えますね。

 

 

続いて、フレットを抜きますが…。

 

 

ローズウッドのものより苦戦します…。

なんというか、オイルをしっかり塗ってハンダゴテで温めても、なかなか食い切りが下に食い込まず、一向に進まないので、少し引っ張り上げるように力を加えると、いきなりズボッと抜けちゃいます。

 

そして、エボニー指板がチップしやすい…。

 

なかなか力加減が難しく、コツを掴み切れないまま、24フレット全てを抜き終わりました。

 

 

続いて、ナットも外します。

 

 

指板を調整するので、外に持ち出しますが、陽の光にあてると結構きれいですね。

 

この後継機種が、現在では、SG Modern になるのだと思いますが、要するにヴィンテージリイッシューのような伝統的な昔のスペックを再現したものではなくて、モダンスペックのギターなんですね。今のは、更に非対称な指板のR加工だったり、いろいろと工夫されているみたいです。

 

 

まずは、状態のチェックから

 

 

ローフレットとハイフレットの両方に光が射し込みます。

6弦側と1弦側でもなんか違いがあり、状態を把握しにくい捻じれ気味な様子です。

ストレートを出すために、アルミの角材でしっかりと削ります。

例のオーバーバインディングもなくします。

 

バインディング上のドットポイントの上がなくちゃうと困るなと思っていましたが、杞憂でした。そんなに削るわけがありません。

 

続いて、指板R(12)のサンディングブロックでひとまず仕上げていきます。

 

そして、ここからがちょっと大変。

スロットの深さを測り、スロットのクリーニングと不足部分を削り込みます。

 

 

今回はバインディングがあるので、前回は使わなかったコレで復元していきます。

が、しかし…。

 

なかなか思うような楽な作業ではなく、最初の内は、ついバインディングまで切り込んだところあります…。

これ、いっそのことバインディングも切り込んで、フレットも加工せずに打ち込んではどうなんだろうと考えますが、ちゃんとやります。

 

更に、ノコギリの部分が簡単に抜けてしまうし、ノコギリの部分が射し込んである柄の木部も欠ける。

道具に不具合が生じ始めました。

 

 

針金で補強し、スロットの深さもある程度の目安をマスキングテープで示しておいて、作業再開。

前回は、ハンドソーが使えたので楽でしたが、バインディングあるとかなり手間が増えますね。

 

 

なんとか頑張りました。

続いて、フレットタングを加工。

 

バインディングを避けて、喰い切りでカットします。

 

 

タングが短くなりすぎないように各フレット毎にピッタリ切っていきます。

この段階で、ある程度、長さも切っておきました。

 

 

とりあえず、タングの粗処理が完了したところで、どのフレット用なのかが分かるように仮置きします。

ここからフレットを打つ前に、一つずつタング加工部分のバリをとります。

 

金工ヤスリでフレットを傷つけないように削るのですが、とても手間なので、可変速のディスクグラインダーを持ってきて、低速で回転させながら、バリを当てて、1本削っては、フレットをプレスしていきます。

ディスクグラインダーは、可変速機能付きに限ります。

 

 

 

 

フレットタングの加工は、上のような感じになっています。

 

結構ハイフレットまでプレスでできました。

この辺は、さすがSG。ハイフレットへのアクセスがしやすくなっています。

 

 

なんとか24フレット全てを打ち終わり、余分をカットしていきます。

ただ、1本打っては、カットすべきでした…。24フレット仕様のハイフレットは、かなり間隔が厳しく、喰い切りがうまく入りにくくなります。特に22,23,24フレットは厳しかった…。

 

 

前回と異なり、フレットエンドを加工する前のこの段階でマスキングしてしまいました。

 

 

フレットエンドの粗処理をします。

 

 

やっぱり、この道具は買ってよかった。実に効率的です。

 

 

フレットエンドを丸める粗処理からペーパーでのフィニッシュを行います。

 

 

フレットの状態をチェックして、軽く擦り合わせもしておきます。

 

ここまでの今回の感想として…

 1. 指板はローズウッドに限る。エボニーは確かにメンテナンスが難しい。

 2. 24フレットは大変。

 3. バインディングあると手間がかなりかかる。

 4. エレキギターは、更に手間がかかる。

 

そこへいくと、FENDERのギターはネックが外れるので、こういう修理には合理的な設計ですね。

とってもアメリカ人らしい、電気屋さんらしい発想のギターなのでは?と思いました。

 

 

マスキングを剥がして、指板オイルを塗ります。

 

 

フレット交換が完了したら、ピックアップを戻しますが…。

うっかりトーンポッドを焼いて破損してしまいました。

 

 

800円くらいかな。CTSのAカーブ500を1個、サウンドハウスに注文します。

 

トーンポッドはなくても、音は出せるので、ナットを接着せずに嵌め込み、テスト用弦を張り直して、テストします。無事に音詰まりその他、問題は全て解消したと思います。1弦側12フレットで1.2mmくらいまで下げても特に支障ないようです。

 

ポッドが無事に届いて、伝送系の復旧も完了。

 

 

ただ、チップした部分が一部気になります。

やっぱり、フレットを打っても隠れていない部分を補修処理しようと思います。

 

まずは、充填剤としていろいろと接着剤を調べてみます。つや消しとかいろいろと条件を考えますが、結局は、エポキシ90分硬化に決定。

これに指板調整の際のサンディングで出た削った粉を保存してあるので、できるだけ濃度高く、混ぜていきます。

 

 

 

サンディングの際の粉は、ペーパーの方から出たものも混じるので、これをやると失敗するというのを他のワークショップのブログで見かけましたが、結構きれいな粉なので、よく見ながらやってみます。

 

本当は、オイルを塗る前に、フレット打つ前にやることだったんでしょうけど、マスキングしてなんとか実行します。ペン型のナイフで細かく充填していきます。

 

テスト用の弦まで張ってしまっていますが…。

 

 

効果後に軽くペーパーを掛けて、終了。

 

 

オイルも塗り直しておきます。