それでは、実践。
まずは、70年代の低いフレットが更に使い込まれ、ボディトップの膨らみもあり、弦高も高く、とても弾けるような状態ではないYamaki Custom F18を。
指板オイルをしっかり塗って、ハンダで温めて、HOSCOの食いきりで掴みます。
あまり上に持ち上げようとしないで、フレットの下に食い込ますようなイメージで待っていると、次第にフレットの下に入るような感じになります。
じわっと入るときれいに抜けます。全くチップすることもなく、順調に抜けていきます。
このハンダゴテで温める方法を考えた人、天才だ。
フレットが抜き終わると指板調整。
フレット交換作業って、フレット抜いて新しいのを打つよりもコレがメイン作業かも…。
アルミ角パイプに両面テープで紙やすりを張り付け、スチール定規でストレートをチェックしながら、根気よく。
トラスロッドの状況も確認した後、まずは、各弦のあたりをまっすぐにしていきます。
トラスロッドが錆びてはいる感じですが、緩めたり締めたり、まだいけることが分かりました。
あまりいっぺんに大きく回してはいけないものだということですが、思い切って、緩めきって締めてみました。
トラスロッドというものが感覚的に少しわかったかも。
指板R(12)のサンディングブロックがやっと入手できました。
これが入手できず、なかなか計画が進まず、かなり遅延しましたが、動画の紙やすりの番手を参考に仕上げていきます。
元々、おそらくローズウッドを黒く染めていたのではないかと思いますが、今回の指板調整でかなり削られ、きれいなローズウッドの杢目が出てきました。エボニーっぽくするような小細工なんて要らないのに…。
スロットの状況をチェックし、今回はバインディングがないので、薄刃のアサリなしハンドソーで調整です。
割とスムーズに進みます。
JESCARのフレットは既にR加工されているので、どんどんローフレットからプレスして打ち込みます。
実に順調。
この中国製のフレットプレスカウル、素晴らしく使えます。
プレス機が使えないハイフレットの打ち込みもこれを当てて、しっかり打ち込みました。
そして、エンド処理。
まずは粗加工。このフレットエンドドレッシングファイル、中国製の安価なものですが、ものすごく効率良いです。
均一な角度で粗処理があっという間に終わります。
バインディングもないので、タングを切ってないのですが、それも垂直な金工ヤスリが付属しているので、粗処理できます。
ただ、ボディが絡むハイフレットは、金工ヤスリで手作業。
テフロン製まな板を噛まして、高さ調整すれば、フレットエンドドレッシングファイルも使えるかもしれないが…。
エンドを丸める粗処理は、HOSCOのフレットエンドファイル。
非常に効率的で使いやすいです。
今回は、参考動画の手順に従いましたが、次回は、このエンドの粗処理をやる前にマスキングしてもいいかなと思いました。
さらなるフレット処理のためにマスキング。
耐水ペーパーでの処理を進めていきます。
この段階でストレートチェックをしてみたところ、擦り合わせは軽くでよさそうでしたので、R付サンディングブロックで1000番、1200番と仕上げていきます。
指板オイルを塗って、完成。
張ってあった弦をヘッドに巻いてキープしていたので、とりあえず、元のナットを嵌め戻して、弦を張ってみますが、ナット交換は必要なさそうです。
ボディトップが膨らんでいるので、ハイフレットの弦高が高いのは致し方ありません。
残るは手段は、ブリッジ削って、サドルも削ってとかくらいしか思いつかないので、それは行いません。
しかし、ミディアムジャンボのフレットもかなり効果的でめちゃくちゃ弾きやすくなりました。
指板のストレート感を感じるし、音もよく響きます。
側板や裏板はローズウッドの合板だと思いますが、その割には、このギターはよく鳴ります。
新しい弦に張り替えて、作業完了です。
50年経過しているギターですが、まだまだ大事にしていきたいです。
さて、次のもう1本も…。