堅山南風「大震災実写図巻」 | こうのの日々

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漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。


夏の終わり頃のことです。

わたしはいつものように「日曜美術館」を見ていました。

で、ある展覧会の紹介を見て「あっ…これは是非とも行きたいな!」と思いました。

そして、珍しく手帳に記しておきました。


それから数週間。

何かの用事のついでに寄れるだろうと思っていたのですが、なかなかその機会に恵まれません。

普通なら忘れるところですが、今回は手帳に記したせいで、開くたびに目に入って、モヤモヤします。


そもそも 7月にも、同じようなことで悶々としていたのでした。


画集などに載っている作品なら全く気にならないのですが、載っていなくて行かねば見られない作品となると、見ないと見るべきだったかどうかも判らないわけです。

こっちの熱量が中途半端なため、わざわざまた夫とTさんに留守番を頼むべきなのか迷うわけです。

また、ぐうたらながらも主婦なので、家を空けるには家事もまとめて片付けておかねばなりません。


しかし。

これも行かねばならんでしょう!

見なければ一生後悔するでしょう!

おそらく今後の自分の漫画人生に必要不可欠でしょう!!


というわけで。

のぞみ号に乗って、ウッスラ富士を眺めて。
東京駅からは中央線に乗って。
四ツ谷駅で降りて、てくてく歩きます。
はい。
地下鉄の半蔵門駅のすぐそばの
「半蔵門ミュージアム」
です。
展示の最終日に、なんとか来ることが出来ました!

日本画家の堅山南風かたやまなんぷうは、1923年の関東大震災で自身も被災しながらも、その被害状況や人々の混乱、そして復興の様子を詳細に描き留めました。
その31点の絵画を3巻の絵巻に仕立てたのが、今回展示されている
「大震災実写図巻」です。

絵巻なので原画が長くて、残念ながら部分しか見ることが出来ませんでした。
それでも、墨の色もみずみずしい軽やかな筆致はすごい迫力で、臨場感がありました。
何より、分かりやすさを優先した誠実な姿勢に心を打たれました。

絵葉書はちょっとだけありました。

この半蔵門ミュージアムは、もともと仏教美術を中心に所蔵しているようです。
常設展示の方は、運慶作の仏像やガンダーラの浮き彫り等がたくさんありました。
また、ありがたいことに、所蔵の仏像や曼荼羅についての美しい短編映画が上映されていて、実物と併せてじっくり味わう事が出来ました。

行けてよかった。
手帳に書いといてよかった。
これからも、気になるものはともかく手帳に記しておこう。
帰ってきて翌日のTさんはこんな感じであまえん坊でした。
よい子でお留守番していてくれてありがとう。
夫よ、行かせてくれてありがとう。

あなたに会期中にご紹介できなかったのがただ残念でした。
うん、次はもっと早く行動するぞ。

ではまたね!