豊国神社と、サルについて思うこと | こうのの日々

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漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。

 

<前回のあらすじ>

京都国立博物館で22日まで開催されていた「最澄と天台宗のすべて」展に行きたくて、京都に行きました。

夫が大阪に出張する日に合わせて、夜に京都に出かけ、一泊することにしたのです。

で早朝に、前から行ってみたかった「豊国廟」に行ってみたわけよ。

でそのそばの「新日吉神宮」にも寄ってみたわけよ。

で! いま気づいたんですが…!

前回の石の写真、新日吉神宮じゃなくて「豊国神社」で見つけたものだった!

というわけで、あの石、豊国神社の入って右の木の下で探してみてね!

ありゃまたー! 前回書いてない内容ばっかりー!!

 

というわけで前回の続きです。

 

「新日吉神宮いまひえじんぐうに寄った後、宿に帰って朝ごはんをいただきました。

若い宿泊客が何人かいて黙々と食事しています。

別のテーブルの人でも、お姉さんたちは、お揃いらしき腹巻ぐらいしかない黒のミニスカートをはいています。

「女優さんかな」と夫が言いました。確かに、何かの撮影だったのかも知れません。

テレビが2台あって、違う番組を流していましたが、どっちも上島竜兵さんの話題でした。

悲しいニュースとはわかっていても、ダチョウ俱楽部のやりとりにはどうしてもつい笑ってしまうのでした。

 

ご飯の後、豊国廟登山で汗をかいたのでシャワーを浴びて、お茶を飲んでひと休みして、宿を出ました。

目的地の京都国立博物館までは500mほどでしょうか。

歩いていると雨が降ってきました。

折り畳み傘を開きました。

わたしは雨女なので、出先で降られることが多くて、折り畳み傘はよく使うのです。

しかし自称晴れ男の夫の傘は…なんとカビとサビだらけでした!!!

これはいますぐ内側だけでも拭かねば!

と狭い道から逸れるため、神社の参道に入りました。

それが「豊国神社とよくにじんじゃでした。

でも、昨夜通りかかった時、明かりがずらっと灯っていて、思わず引き寄せられてしまう優しい雰囲気だったので、本当はお参りしてみたかったのでした。

 

で、鳥居をくぐってすぐ左の木のそばで傘を拭いていて、あの石を見つけたんだよね。

あなたも探してみてね!

 

さて、一段落して、お参りです。

こちらも名前からお察しいただけるとおり、豊臣秀吉公をお祀りしています。

はい! 金のひょうたんの手水です。

豊臣秀吉公といえばひょうたんですね。

 

そして。

さあ、静まれ静まれい。

このお方をどなたと心得る!?

あれ!? 東野英治郎さん……ではなくて! 豊臣秀吉公です!!

 

お参りして、お守りとおみくじを買いました。

 

わたしは、豊臣秀吉公には、昔からなんとなく親近感があるのです。

ひとつは、子どもの頃からなぜかひょうたんが大好きだからです。

もうひとつは、さる年のため、子どもの頃から親きょうだいから、何かにつけサル呼ばわりされていたからです!

あれ不思議だよね…。

「羊のくせに!」とか「犬めが!」とか「所詮ネズミだもんな!」では、まったく同等にならないんだよね。で、相手は明らかに嘲って「サル」と言ってくるくせに、こっちが怒ると、周りのすべての家族から「怒るお前がおかしい。サルは賢い生き物なのに」と薄笑いでたしなめられるんだよな…。

今思うと、サルだけは、無意識のうちにみんな、サル呼ばわりではなくサル扱いなんだよね。

 

というわけで、わたしはサルが大嫌いになってしまいました。

しかし!

ここの干支おみくじは、どれを引いてもいいのですが、とりわけサルがかわいく見えたので、サルにしました。

中身はお正月と同じ「小吉」でしたが、サル嫌い解消への道を踏み出したという点で、わたしの人生の中では大きな一歩でした。

たぶん、人間はサルに対して潜在的な強い劣等感があるんだろうな、と思います。

数年前、英王室のシャーロット王妃が生まれた時、高崎山でそれにあやかって同時期に生まれた赤ちゃんサルにシャーロットちゃんと名付けたら激怒する人がいたけど、ウサギやパンダならそこまで怒られることはないわけで、そこにも強い心の偏りが垣間見えたものでした。

英王室に失礼も何も…そもそもシャーロット王妃のお兄さん、世界で一番有名なサルと同じ名前なんだがな。

 

新日吉神宮の狛猿です。

わたしも、このように足の指を自在に曲げてペンを持てるようになるまでは、サルを見下したりすまい、と誓いましたよ。

 

この後行った「最澄と天台宗のすべて」展も、とても善い展示で、心が洗われたのです。

サルの話で長くなったので、またいつかあらためてね。