こんにちは! こうの史代です。
おりづるタワーの「Wall Art Project」に参加しています。
<1日目> 2月9日
描き始めるのは2月9日と決めていました。
その前日に、比治山大学美術科の卒業制作展の講評と講義で広島に行くことになっていたからです。
おりづるタワーは、コロナ禍で休館中でした。
10時に着いて、いろいろな設備の使い方を教えてもらって、またテレビのカメラマンさんに「こんな絵でガッカリされませんか」などと聞かれながらヘルメットをかぶって、チョークと巻き尺を持って、10時45分頃から、印をつけ始めました。
この壁は、長さ24mの間に60㎝間隔で縦の溝が入っています。
高さ4mの間に水平の溝も2本時入っていました。
水平の溝を起点にして、縦の溝に43㎝間隔(だったかな?)で印をつけてゆきました。
途中で、またテレビのカメラマンさんに「みんなガッカリしませんかねえ、ところで手塚治虫のおすすめ作品は?」などと聞かれながらパンを食べました。
何度も同じことを聞かれますが、何度も撮ってより良いのを使いたいようです。
この時の映像が昨日のニュース番組で流れましたが、わたしが何度か「すずさんじゃなくてガッカリかもしれませんが」などと前置きしながら話しているのはそのためです。
しかし、思ったより足場が狭くて、上の段では身がすくみます。
ありがたいことに、六層めの田中美紀さん夫妻が命綱を貸してくれました。
チョークで印をつけ終えたのは16時過ぎでした。
17時に姉と会う約束をしていたので、もう片付けて引き上げてもよかったのですが、ちょっとだけでも進めておくことにしました。
つねづねわたしは、「作業は中途半端なところで終える」ことを心がけています。
再開する時、何から始めるかが決まっていて取り掛かりやすいからです。
アクリル絵の具「ターナー テントアート」の白と黄色を10:1で混ぜて…、
7文字だけ書きました!
いや、最初の渦巻きはどうやら記号らしいので、正確には6文字です。
文字? なんだこりゃ? とお思いのあなたにだけ、こっそり教えようかね。
これは梵字の般若心経です!
梵字とは、サンスクリット語の表記法のひとつで、古代インドの表音文字です。
「命を懸けて従う 一切を知る者に」
と書いたところです。
般若心経は、三蔵法師による漢文のものがなじみ深いですが、もとはサンスクリット語です。原文はこんなふうに始まります。
<2日目> 2月10日
もたもた準備して、10時40分頃から描き始めました。
「間違えるので話しかけないでください」とあらかじめおことわりして、黙々描きました。
=「物事を自在に観ることのできる聖なる求道者は、深淵なる智慧の完成を」
ここからは、おなじみの「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多…」とほぼ同じ流れになります。
ここでお昼にしました。
そして再開して、「…受想行識亦復如是」のあたりで、この日は終わりにしました。
1色なので、色を選んだり筆を洗ったりする手間がなくて、速く進みます。
春が近づいて、だいぶ日が長くなりました。
18時頃でも広島はまだ明るいのでした。
ではまたね。