壁画のできるまで・その3 | こうのの日々

こうのの日々

漫画家こうの史代です。
夫とキエリボウシインコのTさんと、福知山市で暮らしています。

こんにちは! こうの史代です。

おりづるタワー「Wall Art Project」に参加しています。

 

<3日目> 2月11日

朝起きたら、ものすごい筋肉痛でした。

3層目の三桝正典さんは、すらっと姿勢もよくて機敏で、後ろ姿など30代くらいにしか見えません。

漫画家と違って、絵描きさんは運動量が多いから健康なのかもなあ、と思いました。

昨日はここまで進めました。

おりづるタワーの担当のNさんが、カメラを持ってやって来ました。

描いているところを撮影されるそうです。

Nさんのことは最初は、クール美女かな、と思ったけど、あまりに新しい試みで緊張されていたのでしょう。

この企画が進むにつれ、表情も明るく和らいできました。

感謝の気持ちもあり、ついこちらもかっこいいところを見せねば、という気になります。

この日の書き始めの字(「舎利子」にあたる部分)は、どうも練習の時から難しくて苦手だったのですが…カメラの前で案の定失敗しました!

でも、乾くまで待たないと直せないからね…。というわけで涼しい顔で描き続けました。

この日は、15時半頃まで書いて、後片付けして16時過ぎには引き上げました。

夕方の新幹線で、福知山に帰りました。

 

 

<4日目> 2月19日

前日に、比治山大学の卒業制作展をもう一度見学するために広島に来ました。

この日も朝から作業に入りました。

わたしのいる5層目からは、お隣の電光掲示板が見えます。

この日は2℃までしか上がりませんでした。

気温も低かったのですが、みぞれ交じりの風が吹き込んできました。

わたしより上の階の人はもっと寒いだろうな…と思いました。

 

寒かったけど、その分静かで、作業は進みました。

 

<5日目> 2月20日

朝は晴れていたのですが、午前のうちにみるみる雲って、また寒くなりました。

この日、文字をひと通り書き終えました。

絵の具の垂れたところや失敗した字に、壁の塗料を塗って、修正も済ませました。

 

<6日目>2月21日

これまた寒い日でした。

画面の端に、鳩と鯉をちょびっと描いてみました。

 

鳩を描くために、数日振りに上の足場に登りました。

寒いのは大嫌いなのですが、描きながら、わたしは本当に幸せ者だな、と思いました。

描く仕事をしているとはいえ、ここまで描くことに専念できる機会はなかなか無くて、死ぬ前、瞼に浮かぶ走馬灯には、間違いなくこの景色は入っているだろうな、と思いました。

 

ここで、あなたにもこの走馬灯の風景をおすそ分け。

はい。

足場からの眺めです!

そして、スポンジに銀の絵の具をつけて、ぽんぽん叩いていきました。

銀が終わったら、今度は金をぽんぽんします。

はい。きょうはここまで。

 

宿へ帰る途中、昔好きだったお店をのぞいてみました。

高校時代から、本通りに来ると必ず寄って、外国の雑貨を眺めたり買ったりしていたお店です。

きれいな帯締めを見つけたので、5百円で買いました。

黄色いのは募金箱です。

百円入れたのですが、収納されるまでになんと数十秒もかかる魔訶不思議な募金箱でした。

あなたも見かけたらぜひ寄付してみてね!