こんにちは! こうの史代です。
昨日わたしは、比叡山延暦寺に行ってきました。
雨の中、まず特急列車で京都駅に向かいます。
京都駅からは、便利なことに「比叡山ドライブバス」という直通バスが出ています。ただし冬季は運休で、昨日はこのバスの今年最後の運行日でした。
1時間余りバスに揺られて、「延暦寺バスセンター」に到着する頃には、ありがたいことに雨はすっかり上がっていました。
延暦寺はちょうど5か月振り、人生で3回目の参拝です。
初めて訪れたのは、中学時代の修学旅行でした。
そして2度目が、今年の7月でした。
10月3日のこのブログに書きましたように、テレビ番組「比叡の光」の収録でした。
延暦寺は現在、「根本中堂」の改修工事中です。
改修費を寄付すると、新しい屋根に、名前やお願い事を書いた銅板を張ってもらえます。
わたしはこの番組の出演料を寄付させていただいたので、この銅板に名前を書くというのを口実に、今回はおじゃましました。
「国宝殿」では特別展「戦国と比叡展」が開かれていて、昨日が最終日でした。
仏像はお堂で見るもの…、という先入観がどうしてもありますが、こうしてガラス張りの中で展示されていても神々しさは変わらず、しかも隅々まで拝見できて、いいものですね。
「戒壇院」も初の一般公開ということで、見学させていただきました。
内部には、お釈迦様と、珍しい僧の姿の文殊菩薩と弥勒菩薩の像があり、その前に石でできた壇があります。
この壇上で正式な僧侶となる儀式が行われるそうです。
石の上に、薄っぺらい円座が3枚置いてありました。
儀式の際にはござも敷かれるというお話でしたが、それでもここに正座するのは冷たくて痛そうでした…。
そして、事務所に通していただいて、銅板に油性の筆ペンで、絵や文字を描きました。
建物の内部などは撮影禁止の場所もありましたが、ごめんよ!!
ここまで一切写真を撮っていなかった!!
はい。「開運の鐘」だけは撮影できました!
ちなみに写っている人は全くの赤の他人です。梵鐘の大きさがおわかりいただけただろうか。
50円で、ひと撞きできます。
近づくと、前の人の撞いた余韻で、空気が震えていました。
撞木の綱は、なるべく上の方を持つのがコツです。ぐっと力を込めやすくなります。
あ、連打は絶対禁止だぞ! 連打は火事の合図だそうです。焼き討ちに遭った霊がびっくりしちゃうからね…。
大みそかには、たくさんの人(こちらは生きている普通の人です。念のため)が撞きに来るそうです。
延暦寺の中枢施設ともいえる「根本中堂」の中は、普通のお寺とは逆で、奥の仏像のある場所が深いくぼみになっています。
改修中の今は足場が組んであるせいか、ロボットアニメに出てくる修理場のようです。
低い位置にいらっしゃるおかげで、大きな仏像は参拝者とちょうど視点が合うようになっているそうです。
根本中堂を出て、「あれが山門ですよ」とお坊さんに教えてもらって振り向くと、長い階段の上に山門がありました。
これも普通は逆で、長い階段を登ったその上に本堂があるのにな、と思いました。
根本中堂のあるところは元々は谷で、そのため門よりも低くなっているそうです。
修行というと「高みに登る」印象ですが、低く低く降りてゆくことは、また別の勇気と愛を要することだなあ、と感じました。
また、僧だけでなく多くの偉人のゆかりの地でもあり、この国の文化のまさに「根本」となる場なのだな、と思いました。
前来たときは本当に嵐の日だったので、雨雲で全く景色は見えませんでした。
今回は琵琶湖がきれいに見えました。
帰りのバスからは、なんだか神々しい夕陽も見えました。
今回は京都で別の用もあって、短い滞在でした。
また今度ゆっくり来たいなあ。
ええ…。
「百一」こうの史代 日本文芸社 12月17日発売です…。
偉大な先人たちに申し訳ないアホらしい本の告知をしつつ…また明日ね!