塾選び、迷走の果てに。
これは2024年6月頃のお話になります。
塾探しを始める際、知識のない私でもまず頭に浮かんだのが早稲田アカデミーでした。いわゆる四大塾のうち、我が家の近くにあったのは早稲アカのみです。
大手ならではのノウハウ、合格実績、そして活気。
「中学受験をするなら、王道を行くのが一番の近道。早稲アカにお任せすれば、娘の幼さもビシバシ鍛えてもらえるかも……」
そんな淡い期待を抱いていました。
しかし、現実はそう甘くありません。早稲アカには確実に同級生がいます。
娘の希望は「同じ学校の子がいないこと」。
親としては「そんなの些細なことじゃない?」「慣れれば大丈夫だよ」と言いたくなります。でも、彼女にとってはそれが死活問題。ヘラヘラしているようで、実は外の世界に強い緊張感を抱いている娘にとって、知り合いのいない環境は「譲れない防衛線」だったのです。
実績の早稲アカか、娘の心の安定か。
後ろ髪を引かれる思いで、早稲アカは候補から外し、別の選択肢を探し始めました。
向かったのは、栄光ゼミナール。
入塾テストと体験授業を受けた帰りのエレベーターで娘がポツリと言いました。
「一人、同じ学校の子がいた……」
授業はとてもわかりやすく、雰囲気も気に入ったそうですが、いったん保留に。彼女のこだわりは想像以上に固かったのです。
次に足を運んだのは、大手個別指導塾。
入塾説明をしてくれた先生は娘の扱いがとても上手で、「あなたにはこんな学校が向いていそう」と様々な学校の資料を出してくれ魅力を提示してくれます。
娘もすっかりその気に。「ここがいい!」
断然、乗り気になった娘。しかし、親の私はここで気づくのです。個別指導で4教科をしっかり対策するとなると、週に何コマ必要なの?そして月謝は一体いくらに……?
「わからないことを自発的に聞きに行けない娘には個別がいいけれど、この費用、そしてカリキュラムは間に合うの?」
期待と不安が入り混じり、家から若干遠いこともあり、一旦保留となりました。
やはり現実的には集団塾か。
そうして次に見つけたのが、エリア内にあった「某都立中高一貫校に強い塾」でした。
「都立って何? 私立と何が違うの?」
当時は「都立一貫校」なんて言葉すらよくわかっていない状態。「とりあえず近くにあるから行ってみよう」という、相変わらずの勢いだけで門を叩くことにしました。
「誰もいない塾」を求めて
これは2024年6月頃のお話になります。
中学受験を決めたものの、当の本人の性格は一言で言えば「幼い」の一言に尽きます。
家での彼女は、なかなかの強敵です。
何かあっても「自分は悪くない」。本気で努力する姿は見えず、注意すればヘラヘラとかわし、追い詰めれば癇癪を起こして泣きわめく。親としては白目を剥きたくなる毎日です。
ところが、一歩外に出れば別人のよう。「大人しくて手のかからない子」と思われているようです。
自分から人に話しかけるのが苦手で、先生ともほとんど話しません。
心を許せる友達は2人ほど。学校では波風立てずに過ごしているけれど、家では「学校なんて楽しくない」と不平不満をこぼす。自分の気持ちを言葉にするのが苦手で、もどかしさを抱えているようでした。
そんな彼女が、塾を探す上で希望したこと。
それは「同じ学校の子が一人もいない塾がいい」ということでした。
今の学校での自分を知っている人がいない、まっさらな場所でなら、少しは自分を出せるかもしれない。勉強により集中出来るかも。自分が中学受験することは出来れば同級生たちにバレたくない。彼女なりの防衛本能だったのかもしれません。
幼いなりに、変わりたい?
一見、受験に向いていないように見える性格かもしれません。
でも、学校見学で見せた「目を輝かせた瞬間」は本物でした。
「今の場所じゃないどこか」を求めているのは、実は彼女自身なのかもしれない。
そんな淡い期待を抱きつつ、私たちは「同級生がいない」という条件を手に、塾探しをスタートしたのでした。
【2校目見学】英語か、プールか。
これは2024年6月頃のお話になります。
午後は、自宅からバスで30分ほどの場所にあるB校へ。
私は満員電車が本当に苦手なので、「座れるバスで30分」というアクセスはむしろ高ポイント。到着した学校は、こちらもまた綺麗で明るく、制服もとっても可愛い!先生や生徒さんの雰囲気も良く、期待が高まります。
説明会が進むにつれ、B校の特色が明らかになってきました。
そこは、英語教育に力を入れているグローバル校。なんと「全員参加の海外研修」が必須とのこと!
「あ、これは……(色んな意味で)ハードル高いかも」
小学校の英語授業でアップアップしている娘がついていけるのか? そして何より、その研修費を含めた学費は一体おいくらに……!?
親の私は、勝手に気後れして白目を剥きそうになっていました。
しかし、心配する私をよそに、娘は「海外研修、すごそう〜!行ってみたい!」と目をキラキラさせています。若さゆえの無知か、それとも大物なのか。
ただ一点、娘がどうしても納得いかなかったのが……
「この学校、プールも水泳部もないんだよねぇ。。」
午前中に見たA校の立派なプールの残像が、よほど強烈だったようです。彼女にとっての優先順位は「世界に羽ばたく英語」よりも「プール」だったのか……。
こうして、予備知識ゼロのまま勢いだけで駆け抜けた学校見学の1日が終了しました。
何も知らずに飛び込んだからこそ、それぞれの個性がダイレクトに刺さり、親子で「どっちの制服が好み?」「英語ペラペラになっちゃう?!」と帰り道は大盛り上がり。
この日のワクワクを胸に、わが家の中学受験生活は、こうして本格的に幕を開けたのでした。