2018年5月【読書記録】2冊

読書記録、、、

このコーナー
風前の灯です･･･。

５月は２冊だけ。

読めない時が続いています。
長いトンネルに入りましたねぇ。。。

秋には再開したいところです。

というわけで、

そんな貴重な？２冊の振り返り、
参ります！

井上 靖 著『あすなろ物語』

安定の井上靖。

そう何冊も読む時間が
とれないと分かっているだけに

１冊に懸ける思いが
賭けをしないチョイスに(笑)。

『しろばんば』
に連なる三部作を読んでいたので

似ているのかな？

とは思っていましたが、
なんでしょう、、、

確かに似ていますが、
まったく似ていない

読み物としては（当たり前ですが）
完全に別物でした。

これだけ人間を
静かに見つめる力をもつとは
どういう毎日になるのだろう。

人をどう見るのだろう。

切なかったり
笑えたり
物悲しかったり

いろいろな場面があるのに
ふわふわしたところがなく

静かに動じないまなざしで
じーっと見るように
文字が続いていく。

自伝的というより、

自らの体験を
小説のネタとして

井上風味に
味付けするとこうなる、

といった感じで
『しろばんば』とはまた違った
味わいの物語でした。

ロバート・クルツバン著
『だれもが偽善者になる本当の理由』

面白かったです。

進化心理学の視点から
一人の人間に内在する矛盾に迫る。

矛盾。

なぜ矛盾するのか？

どのように

”自分にうそをつく”

などと
論理破綻したことを言い

それが受け入れられるのか？

あの人がやるのはダメだが

自分がやるのは
ちょっとくらいならいい

という偽善がおきるのか。

自己欺瞞
自己コントロール
自己矛盾

といった
一見本当らしい概念を
ザクザクと切り刻みます(笑)。

心理学者･･･
特に社会心理学者･･･

めった切りにされてます(笑)。

でも。

でも、でもですよ。

これ、今年の読書記録を
代表する一冊になるかも！

と思うほど
エキサイティングでした。

おもしろかった。

モジュール理論
を軸に理論展開していきます。

ずいぶん前に
モジュール理論には
触れたことがありましたが･･･

その時はあまりよく理解できて
いなかったんでしょうね、

どうもピンとこなかった
そんな印象がありました。

それが今回は

めちゃめちゃ面白く
読むことができました。

我々、
臨床心理学をやる人間としては

うーん

と唸る場面も多いですし、

自らの理論的立場が
ゆらぐような話というのは

なかなか気分のいいものでは
ないわけですが、

それを上回る興奮が
ありましたねぇ。

臨床心理学にある概念を

この進化心理学の理論で
説明するなら

どういうことになるのだろう？

そんなふうに

どちらも両立するような
角度から読んでいくと
面白いのじゃないかな、と思います。

臨床心理学は

科学性を大切にしつつも

臨床に役立つものは
積極的に取り入れる、という

姿勢が持ち味です。

だから、（まだ）
科学的に証明できなくても

「～と考えると説明しやすい」
「～と考えると理解しやすい」

といいながら

あいまいなものを切り捨てずに

貪欲に活用する懐があると思います。

その点が
ある種の弱点にも
なることがあるわけですが

（行き過ぎれば暴走する）、

そこを補強しうる
アイディアが詰まっています。

ま、著者にしたら
「とっとと改心しろ！」
というところでしょうが(笑)。

さてさて。

６月はどのくらい読めるかな。

いい出合いはあるかな。

みなさんも
どうぞたのしい読書ライフを。

あ。

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