どこまでが学校の先生のお仕事?

 

 

私は不登校・発達障害の子どものことで、学校を訪問させていただく機会が多いのですが、本当に学校の先生方はお忙しいです。


授業、授業準備、提出物の確認・採点、行事の企画・準備、生徒のタブレットやパソコンへのデータ送信・連絡情報送信、テストの作成・採点、テストやプリントの印刷、校務分掌業務、クラブ活動などなど、あげればキリがありません。


これは、あくまで通常業務です。

ここに、生徒どうしのトラブルが発生して場合、そのトラブルの解決も先生の仕事なのです。

学校の中でいじめがあった場合、このいじめに対応することになります。

一人ひとりの生徒から事情を聞き、場合によってはご家族に学校まで来ていただく、あるいは先生が家まで訪問する、そして、その情報を元に職員会議を行うことになります。

以前と異なり、今は、お父様もお母様もお仕事をされていて、お帰りが遅いことが多いです。

お帰りになって家事もされています。

そうすると、先生がご家族とお話をしようと思うと、早くても18時以降、遅ければ20時や21時になることは当たり前なのです。

トラブルの際には、どうしてもご家族に話を聞かないわけにはいかないですし、聞くだけでなく、事情説明もしないといけません。

そうすると、20時から学校で事情を聞いたり、説明をしたりすれば、1時間で終わったとしても21時、そこから先生方で今後の対応を考えると22時くらいになります。

翌日、トラブルがあった生徒の様子を確認するためには、生徒が来る前には学校にいないといけないと考えると7時30分までには学校についてないといけません。

そうすると、学校から自宅までの通勤距離を1時間と仮に仮定してみてください。

22時に学校を出て、帰宅は23時になります。朝7時30分に学校に着くためには、6時30分には家を出ないといけないので、自宅での滞在時間は7時間30分。

滞在時間から家族と話したり、食事、入浴時間を引くともう6時間あるかどうかになります。

これを睡眠時間に全て当てられるわけではないのです。

トラブル対応に時間を取られているので、自宅で提出物の採点や授業準備をすると、確実に睡眠時間は5時間、4時間と減っていくのです。

これで、一部、最初から給与に含まれている分を除けば、残業手当もなく、下手をすれば土日などないのです。


この子どもたちが学校内でトラブルを起こすと、確実に余計な負担が発生してしまうのですが、この対応をしなくていいというわけでありません。

先生方の働き方改革というのですが、その前に、国民全体のレベルを上げて、生徒どうしのトラブルをできるだけ減らすことができないことには、どうあっても先生方の仕事が楽にはならないのです。

子どもどうしの人間関係に問題が生じるのは、若いですから仕方がありません。

それでも、昭和の戦後のように、家庭で厳しく躾けることでもなければ、学校でのトラブルなど減るはずもありません。


自分さえ良ければいいという大人がいます。



その大人を見て育った子ども達は、学校で自分のことを中心に考えると、他人とトラブルを起こしやすくなります。

いじめや暴力などは典型的なものだと思います。

教育内容が良いか悪いかという議論は別にして、日本が世界の中でここまでの位置を占めることができたのは、教育の力が多いことは、誰もが疑うことではないと思います。


その中心は、どうあっても学校です。

 

最近では、学力という意味では学習塾の力も大きいと思います。

 

しかし、学校の授業時間、子ども達が学校にいる時間は、塾などに比べて圧倒的に長いのです。

 

だから、学校が教育の中心であることは、紛れもない事実です。

 

不登校の子ども達を長年見て、一緒に学んできた立場であっても、この点は間違いありません。


この学校で働く先生方の「働き方改革」は、実は、国民全体の問題だと私は思うのです。

日本に資源はありません。

人が最も重要な資源なのです。

その資源を育てる中心の学校の先生方に、力を発揮していただくために、考えないといけないのは、学校現場ではないように、私は思います。