アステロイド・シティ | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Asteroid City
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:ジェイソン・シュワルツマン/スカーレット・ヨハンソン/トム・ハンクス
配給:フォーカス・フィーチャーズ/パルコ=ユニバーサル映画
公開:2023年9月
時間:104分




『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年・フォックス)犬ヶ島』のウェス・アンダーソン監督。キャストにスカーレット・ヨハンソン,トム・ハンクス,ティルダ・スウィントン,ウィレム・デフォー,マーゴット・ロビーらのクレジットを見ると,映画好きならきっと見てしまうはず。そんな,昨年秋に公開された群像コメディ・ドラマ『アステロイド・シティ』を今夜は紹介。『Asteroid City』とは「小惑星の町」の意味となる。

1955年9月,ネバダ州の小さな田舎町“アステロイド・シティ”。隕石でできた巨大なクレーターが唯一の観光名所で,近くでは核実験が行われているこの砂漠の町で,“ジュニア宇宙科学大会”の祭典が開かれ,表彰式に5人の天才少年少女とその家族が招待された。表彰される息子ウッドロウ(ジェイク・ライアン)と3人の幼い娘たちとやって来た世界的な戦場カメラマンのオーギー・スティーンベック(ジェイソン・シュワルツマン)は,妻(マーゴット・ロビー)の死を子どもたちに伝えることができずにいた。やがて,義父のスタンリー(トム・ハンクス)もやって来る。

隣のバンガローにはマリリン・モンローを彷彿とさせるグラマラスな映画スターでシングルマザーのミッジ・キャンベル(スカーレット・ヨハンソン)が,受賞者である娘ダイナ(グレース・エドワーズ)を連れて来ていた。それぞれが複雑な想いを抱える中,夜になり,町の観光名所である隕石クレーターの中でイベントの天体観測が行われる。するとそこにUFOが飛来し,現れた宇宙人が展示品の隕石を持ち去っていまう。予想もしなかったこの大事件により人々は大混乱。街は封鎖され,軍は宇宙人出現の事実を隠蔽しようとし,子どもたちは外部に情報を伝えようと企てるのだったが……。

カラー場面は実は舞台劇という設定で,冒頭から何度もインサートされるモノクロの場面は,その舞台裏を放送するテレビ番組,という凝った演出。そうやって見ると,アンダーソン監督作によくある神経質なほどシンメトリーな構図,パステルに統一されたカラーパレット,ストップモーション・アニメなど,いかにも舞台的に見えてくる。

ストーリーよりも,そんな細かな背景や彩色の面白さ,ちょっとした台詞の深さや毒気,オーギーとミッジがバンガローの窓越しに会話するシーンの構図など,場面場面の巧みさに唸らせられる。そして,実力のある俳優たちだからこそ,そこに面白さが醸し出される。「次はどんな絵を見せてくれるんだろう?」とワクワクしながら過ぎていく1時間40分のアトラクションと言っても良いかもしれない。


映画クタ評:★★★★


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