犬ヶ島 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Isle of Dogs
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:コーユー・ランキン/リーヴ・シュレイバー/ブライアン・クランストン
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ/20世紀フォックス
公開:2018年5月
時間:105分




今夜紹介するのは,『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年・フォックス)の鬼才ウェス・アンダーソン監督が近未来の日本を舞台に描いたストップモーション・アニメーションSFコメディ映画『犬ヶ島』。セットの制作には670人のスタッフが携わり,製作に4年が費やされている。第68回ベルリン国際映画祭のオープニングを飾り,アンダーソン監督は銀熊賞(監督賞)を受賞と,高評価の作品だ。

2038年の日本。ウニ県メガ崎市ではドッグ病が蔓延し,人間への感染が恐れられていた。小林市長(野村訓市)は毎日ロープウェイでゴミが送られる”ゴミ島”へ全ての犬を追放し隔離すると宣言。まずは見せしめのため市長宅の護衛犬スポッツ(リーヴ・シュレイバー)を島に送り込むよう命じる。そうして犬ヶ島に隔離された犬たちは,自分たちだけで生き延びることを余儀なくされ,空腹を抱えて辛い日々を送っていた。

そんな犬たちの中で“ボス犬軍団”としてひときわ目立つ5匹の犬たちのグループ。快適な家で飼われていた人間好きのレックス(エドワード・ノートン),22本のドッグフードのCMに出演していたキング(ボブ・バラバン),健康管理に気を使う女主人に飼われていたデューク(ジェフ・ゴールドブラム),高校野球チームのマスコットだったボス(ビル・マーレイ),リーダー的存在たが多数決でいつも負けるチーフ(ブライアン・クランストン)。

ある日,5匹の前に小型飛行機で降り立ったのは3年前に両親を事故で亡くし,親戚の小林市長に引き取られた少年アタリ(コーユー・ランキン)。孤独な彼の悲しみを癒してくれた護衛犬スポッツの救出にやって来た彼は5匹の協力を得て,スポッツの探索を始めるのだったが…。

ストップモーションだからこそ伝わる立体感・温度感や親しみが見る者を惹きつける。しかしストーリーは冒頭から不穏で,アタリが“犬ヶ島”に上陸してからは,並行して描かれる背後の巨大な陰謀が,社会派ドラマ的に広がっていく。なのにストップモーションだと“毒”が抑えられて見やすく,でもメッセージが響く。

ボイスキャストとして,エドワード・ノートン,ビル・マーレイ,スカーレット・ヨハンソンをはじめとする豪華ハリウッド・スターに加え,渡辺謙,夏木マリ,村上虹郎,野田洋次郎など多彩な日本人キャストも多数参加。何と,オノ・ヨーコまで登場!

背景や色彩にも注意して見ると,作品全体から香る日本へのリスペクトと芸術センスも楽しめる1本だ。


映画クタ評:★★★★


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