沈黙の艦隊 | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:THE SILENT SERVICE
監督:吉野耕平
キャスト:大沢たかお/玉木宏/上戸彩
配給:東宝
公開:2023年9月
時間:113分




今夜は,昨年秋に劇場公開されたポリティカル軍事サスペンス・アクション『沈黙の艦隊』を紹介。原作は,かわぐちかいじが『モーニング』(講談社)に1988年から1996年まで連載した漫画で,累計発行部数は3200万部を超える人気作品だ。最新鋭の原子力潜水艦と核ミサイルを手に独立国家樹立を宣言した主人公と乗組員たちの運命が,日米それぞれの思惑の交錯する熾烈な攻防の行方とともに描かれていく。

製作にも名を連ねる大沢たかおは,自ら企画段階のプレゼンテーションに奔走。撮影では日本で初めて海上自衛隊潜水艦部隊の撮影協力を得,実際の海自潜水艦が使用されている。監督は『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』(2022年・東映)の吉野耕平。主題歌にはAdoの『DIGNITY』が採用されている。

日本近海で海上自衛隊の潜水艦“やまなみ”が米国の原潜と衝突し沈没,艦長の海江田四郎(大沢たかお)を含む76名全員が死亡した,という衝撃のニュースが日本中を駆け巡る。しかし実際には乗員は全員無事で,事故は,日米が極秘に開発した日本初の高性能原子力潜水艦“シーバット”の乗員に選抜された乗組員たちを乗務させるための偽装工作だったのだ。“シーバット”は日本が建造費を提供したにも関わらず,米艦隊所属という数奇な運命を背負った落とし子。その艦長に任命されたのが,海自一の操艦技術を誇る海江田だった。

こうして米艦隊所属の“シーバット”の艦長となった海江田だったが,積載された核ミサイルとともに潜航中に米軍の指揮下を離れ,深海へと消える。海江田を核テロリストと認定し,太平洋艦隊を集結させてシーバット撃沈を図るアメリカ。やがて,自身を国家元首とする独立戦闘国家“やまと”を全世界に宣言する海江田。アメリカより先に“やまと”を捕獲するため,日本政府は深町洋艦長(玉木宏)率いる海自潜水艦“たつなみ”を追跡に向かわせるのだったが…。

Amazon.com傘下の映画製作会社“Amazonスタジオ”初となる日本映画の製作となったこの作品,原作やアニメ映画版を知る人なら歓喜の声を上げるほど気合いのみなぎる迫力映像。舞台は原作から約30年後の現代に移されている。

それでも劇場版はまだまだ序盤で,大義か反逆か? もイマイチはっきりしない。物語は,日米政府,海自の潜水艦乗組員たち,アメリカ海軍までをも運命の大波に呑み込むことになっていくのだが,続編構想かと思いきや,今月からアマプラで世界約240の国と地域で配信公開が始まった。劇場版はAmazon Originalドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』全8話の第4話の中盤までで,劇場版より多くの登場人物にフォーカスすることで,人間ドラマに厚みを持たせている。後半の見どころは劇場版の続きとなる沖縄沖海戦と東京湾海戦が舞台となる壮大なバトルシーンだ。

人気に応え,アマプラの続編制作も発表された。ここからが物語の意味,海江田の真意が表れてくる佳境。ストーリーの最後まで丁寧にシリーズ化されることを熱望している。


映画クタ評:★★★★


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