水曜日が消えた | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Gone Wednesday
監督:吉野耕平
キャスト:中村倫也/石橋菜津美/中島歩
配給:日活
公開:2020年6月
時間:104分




今夜紹介するのは2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』への出演から知名度を上げてきた中村倫也の主演作。高校1年の時にスカウトを受け,2005年に俳優デビューしてから,多くのドラマや映画に出演してきた中堅だ。最近は『屍人荘の殺人』や『アラジン』の吹き替えにも参加している。幅広い役柄をナチュラルに演じる器用さには定評があり,カメレオンよりも擬態能力が優れていると言われるタコにちなんで“ミミックオクトパス俳優”と自称するユーモアのセンスも魅力。『君の名は。』にCGアーティストとして参加した吉野耕平の長編監督デビュー作で,脚本も吉野耕平が手掛けている。

幼い頃に交通事故に遭った後遺症で,1人の身体の中で性格も個性も異なる7つの人格が曜日ごとに入れ替わるようになった青年・斎藤数馬(中村倫也)。性格も個性もバラバラな7人は,互いをそれぞれが目覚める曜日の名前で呼び合い,不便さはあるものの平穏に暮らしていた。“火曜日”は彼ら7人の中で一番地味な存在で,家の掃除や荷物の受け取り,通院などの用事を他の曜日から押し付けられる損な役回り。

ところがある日,“火曜日”が目覚めると,周囲の様子がいつもと違っていた。その日はなんと水曜日だったのだ。“水曜日”が消え,代わりに“火曜日”が水曜日に目を覚ましたようだった。いつもは休館している図書館を利用するなど,初めての水曜日を謳歌する“火曜日”。しかし,それはやがて戸惑いと恐怖に変わっていくのだった…。

解離性同一性障害(多重人格障害)を扱った作品と言えば,近作では『スプリット』が思い出されるが,ケヴィンのような狂気や孤独を押し出すわけでなく,中村倫也らしい穏やかな雰囲気が全編を包む。とはいえ,7つの異なる人格の表現など,芸歴15年の上手さは存分に感じられ,物語としての面白さを増幅させていく。

共演は他に,石橋菜津美,深川麻衣,きたろう など。


映画クタ評:★★★★


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