猿の惑星/新世紀(ライジング) | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Dawn of the Planet of the Apes
監督:マット・リーヴス
キャスト:アンディ・サーキス/ジェイソン・クラーク/ゲイリー・オールドマン
配給:20世紀フォックス
公開:2014年9月
時間:130分




創世記』の3年後に公開された続編だが,物語の時系列は10年後となる。『創世記』後半で開発されるALZ112を改良した新型治療薬ALZ113は,猿にとっては言語能力を与えるほど知能を向上させる薬だったが,人間にとっては危険な殺人ウイルスで,“猿インフルエンザ”と呼ばれる致死率の高い新型感染症として世界中に爆発的感染を拡げていった。抗体のある一部の人間を除き多くの人間が死亡したため,全世界規模での文明社会の崩壊が起きてしまったのだ。

前作に引き続きモーションキャプチャーでシーザーを演じるアンディ・サーキスが,この作品では主演としてクレジットされた。監督は『クローバーフィールド/HAKAISHA』『モールス』(2011年・オーヴァーチュア)のマット・リーヴス。原題の『Dawn of the Planet of the Apes』は「猿の惑星の夜明け」位の意味。邦題の『新世紀(Rising)』は,どうしても『ダークナイト ライジング』を意識したものに感じてしまう。

高度な知能を獲得した猿(エイプ)のシーザー(アンディ・サーキス)が自由を求めて立ち上がり,仲間たちを率いて人類への反乱を起こしてから10年。遺伝子の進化,知能と言語の獲得により猿たちは進化を加速させ,ミュアウッヅの森の奥に文明的なコミュニティを築いて平和に暮らしていた。一方人類は,蔓延したウイルスによっておよそ90%が死滅し,わずかな生存者たちは,荒れ果てた都市の一角で身を潜めるように暮らしていた。

そんなある日,電力が底を尽きかけた人間たちは,ダムの水力発電を利用しようと猿のテリトリーに足を踏み入れてしまい,一触即発の危機を招く。最悪の事態だけは避けたい平和主義のマルコム(ジェイソン・クラーク)は,猿のリーダー,シーザーと接触し,次第に信頼関係を築いていくが,両陣営の対立は激化。猿vs人類の全面戦争を回避するため仲間たちの説得に力を尽くすシーザーとマルコムだったが…。

リーダーのシーザーは「エイプ(猿)はエイプを殺さない」という掟を定めていた。人間は人間を殺すが,猿は猿を殺さない。したがって,人間は猿よりも劣る。というエイプの正義の三段論法が,猿たちの思惑の違いによって崩れていく。綿密な脚本によって,その部分に敢えて踏み込むことで,現実に人間の生きる世界で絶え間なく戦争や紛争が起こり続けているメカニズムさえも解き明かし,映し出していく。

マルコムとドレイファス(ゲイリー・オールドマン),そして,シーザーとコバ(トビー・ケベル)の意見の違いとその背景が対比され,キッチリと描かれていく物語が渋い。途中,マルコムたちに助けられたシーザーが手術の為に運び込まれたのが,パッシフィックハイツにあるかつてシーザーが育て親のウィルと幸せに暮らした家というのも,胸を熱くさせるのだ。


映画クタ評:★★★★


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◆シリーズ一覧◆

猿の惑星/創世記(ジェネシス)』(2011年)

猿の惑星/聖戦記(グレート・ウォー)』(2017年)