猿の惑星/聖戦記(グレート・ウォー) | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:War for the Planet of the Apes
監督:マット・リーヴス
キャスト:アンディ・サーキス/ウディ・ハレルソン/スティーヴ・ザーン
配給:20世紀フォックス
公開:2017年10月
時間:140分




新世紀』から3年後に公開されたリブート版『猿の惑星』シリーズの最終章の邦題は『聖戦記(Great War)』。仲間を率いて人類に反旗を翻した猿(エイプ)の英雄シーザーの葛藤と,壮絶な戦いの行方が描かれる。物語の時系列は『新世紀』の2年後。監督は前作に引き続きマット・リーヴス。

平和を望み共存の道を探ってきたシーザー(アンディ・サーキス)の願いもむなしく,猿と人類が全面戦争に突入してから2年。猿の群れを率いるシーザーは森の奥深くに身を潜めていたが,ある夜奇襲を受け,妻のコーネリア(ジュディ・グリア)と息子のブルーアイズ(マックス・ロイド=ジョーンズ)を殺されてしまう。翌朝,新天地へと旅立つ群れを離れ,アルファ・オメガ部隊の大佐(ウディ・ハレルソン)に復讐する旅に出るシーザー。その後ろから,古い仲間であるロケット(テリー・ノタリー)とオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル),ゴリラのルカ(マイケル・アダムスウェイト)が追いつき,行動を共にする。

道中,口のきけない人間の少女ノヴァ(アミア・ミラー)や動物園出身の奇妙なチンパンジー,バッド・エイプ(スティーヴ・ザーン)を加え,大佐のアジトである巨大な要塞に辿り着いた一行。しかし,復讐心に燃え冷静な判断力を失ったシーザーは,執拗に彼を狙う大佐に捕獲されてしまう。驚いたことに施設には,新天地に向かったはずの仲間たちが監禁され,過酷な重労働を課せられていたのだった。リーダーとしての責任を痛感したシーザーは,大切な仲間たちを希望の地へと導くため,命がけの行動に出るのだったが…。

ウイルスによるパンデミック,人種や偏見,そして同一種の中での裏切りや抗争など,現実社会を映した多くの寓話性が,コロナ禍で揺れた今年は特に沁みる。そして,釘付けにさせてくれたシリーズの最後に,さらに自己の中にある怨恨と責任の狭間で葛藤しながら,覚悟を持ったヒロイズムへと昇華させる。すでにエイプはメタファーではなく,見る者の心に明確に英雄として,シーザーの姿を留めていく。エンディングでは,作り手側の意図もそうだと確信させられる。

古典を思わせる美しさを放つストーリーに酔いしれつつ,シーザーとアンディ・サーキスへの慰労の念と感謝でいっぱいになる完成した1本だ。


映画クタ評:★★★★


右矢印ウディ・ハレルソン作品まとめ


◆シリーズ一覧◆

猿の惑星/創世記(ジェネシス)』(2011年)

猿の惑星/新世紀(ライジング)』(2014年)