フォードvsフェラーリ | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:Ford v Ferrari
監督:ジェームズ・マンゴールド
キャスト:マット・デイモン/クリスチャン・ベール/ジョン・バーンサル
配給:20世紀フォックス/ウォルト・ディズニー・ジャパン
公開:2020年1月
時間:153分




1903年に設立されたアメリカの自動車メーカー“フォード”。一方で1947年に設立されたイタリアの高級車メーカー“フェラーリ”。詳しい人なら,この2社が長きに渡り,様々なカテゴリーのモータースポーツに関わっていることをご存知だろう。

今夜紹介する『フォードvsフェラーリ』は,タイトルから判る通り,そんな2社の,実話を基にした物語。1960年代後半の“ル・マン24時間耐久レース”を舞台にしている。監督は『17歳のカルテ』『LOGAN/ローガン』のジェームズ・マンゴールド。

レーサーとして活躍し,1959年の“ル・マン24時間耐久レース”では優勝の栄冠に輝いたキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。しかし,心臓を患い引退を余儀なくされた後は,自らの理想のスポーツカーを作るために“シェルビー・アメリカン”を設立し,多数のセレブリティを顧客に抱え,経営者兼カーデザイナーとして成功したが,心の中ではレースを渇望していた。

その頃,アメリカ最大の自動車メーカー“フォード・モーター社”では,“ル・マン”で絶対王者に君臨していたイタリアの“フェラーリ社”との買収交渉が進められていた。ところが契約成立を目前に創業者のエンツォ・フェラーリ(レモ・ジローネ)が態度を急変させ,交渉は決裂。小バカにされた会長のヘンリー・フォード2世(トレイシー・レッツ)は激怒し,レースでの打倒フェラーリを誓うのだった。

こうしてシェルビーのもとに,フォードの副社長兼総支配人のリー・アイアコッカ(ジョン・バーンサル)から「絶対王者フェラーリに勝てる車を作ってほしい」という不可能とも思える依頼が舞い込む。さっそくシェルビーはイギリス人ドライバーのケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)を口説き,2人でレーシングカー“フォードGT40”の改良を進めていく。しかし,レーサーとしての腕前は超一流だが,その言動があまりにも破天荒なマイルズは,企業イメージを大事にするフォード社幹部の反感を買ってしまうのだったが…。

個人的にはF1をメインにモータースポーツを見てきたのもあって『ラッシュ/プライドと友情』を超えるレース映画はもう現れないと思っていた。しかし,企業vs企業や,その内部での思惑,レーサーのマイルズと妻モリー(カトリーナ・バルフ)や息子ピーター(ノア・ジュープ)の家族愛,そして,互いをリスペクトしながらも,衝突の絶えないシェルビーとマイルズの関係性など,レースの裏側にあるヒューマン・ドラマを存分に見せてくれるこの作品。モータースポーツを知らなくてもソソられる要素に溢れている。

レースの描写も圧巻。“デイトナ24時間”や“ル・マン”のシーンでは,極力CGを使わず,実際のコースに当時のマシンを走らせ,強靭なリアリティを生み出してくれる。2時間半をまったく感じさせない映像とストーリーと構成に満足な1本だ。第92回アカデミー賞では,音響編集賞と編集賞の2冠を獲得している。


映画クタ評:★★★★


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