空母いぶき | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:若松節朗
キャスト:西島秀俊/佐々木蔵之介/本田翼
配給:キノフィルムズ/木下グループ
公開:2019年5月
時間:134分




今夜紹介するのは,『沈黙の艦隊』『ジパング』で知られるかわぐちかいじの大ヒット軍事コミックスを,豪華キャストの共演で実写映画化したポリティカル・サスペンス大作。監督は『ホワイトアウト』『柘榴坂の仇討』(2014年・松竹),そして3月6日から公開の『Fukushima 50』を手掛ける若松節朗。映画では硬派な作品が多いが,TVドラマでは多彩なヒット作品を世に出すヒットメーカーとして知られている。

20XX年12月23日未明。沖ノ鳥島の西方450キロ,波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸。日本の領土が他国に占領された。海上自衛隊は直ちに小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群を現場に向かわせる。その旗艦こそ,自衛隊初の空母という存在から“専守防衛”を巡って国論を二分する議論の的となっていた航空機搭載型護衛艦《いぶき》だった。艦長は航空自衛隊出身の秋津竜太一佐(西島秀俊)。彼を補佐する副長は海上自衛隊生え抜きの新波歳也二佐(佐々木蔵之介)。

そんな《いぶき》を護るように航行する護衛艦《あしたか》《いそかぜ》《はつゆき》《しらゆき》と潜水艦《はやしお》。彼らを待ち受けていたのは敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃だった。さらに針路上には敵の空母艦隊が出現。想定を越えた戦闘状態に突入していく中,垂水総理(佐藤浩市)の率いる政府は,戦後初めての“防衛出動”を発令。迫り来る敵戦闘機に向け,迎撃ミサイルが放たれるのだったが…。

原作が発表されたのは2014年。尖閣諸島での中国船領海侵犯事件などが散発的に発生し,日中関係における離島防衛や奪還作戦の可能性が現実味を帯びていた頃。映画では“東亜連邦”という架空の国名になっているが,原作では“中国”だし,見る者的にはやはり中国臭が漂う。

ただ,若松監督らしい見応えのある“硬派”作品かと思いきや,原作の[海上パート][政府パート]に加えて,映画オリジナルの,《いぶき》に乗ったネットニュース“P-Panel”の本多(本田翼)と“東邦新聞”の田中(小倉久寛)の[船中記者パート],晒谷(斉藤由貴)を中心とする“P-Panel”の[社内パート],そして店長・中野(中井貴一)を中心とした[コンビニ・パート]の5つが相互にアクセントを持ち,絶妙のバランスでストーリーを面白くする。

緩急というか,このブレンドがたまらなく美味しい1本に仕上がっているのだ。同じく昨年公開された『記憶にございません!』でも中井貴一と共演した佐藤浩市が,この作品では首相を演じるのも面白い対比になっている。


映画クタ評:★★★★★


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