監督:三谷幸喜
キャスト:中井貴一/ディーン・フジオカ/石田ゆり子
配給:東宝
公開:2019年9月
時間:127分
今夜紹介するのは,前作『ギャラクシー街道』から4年ぶりとなる三谷監督8作目,大ヒット上映中の『記憶にございません!』。フジテレビ開局60周年記念作品となっている。
『THE 有頂天ホテル』の公開後から企画を温めていた,構想13年となる三谷監督オリジナル政治コメディ。「もしも自分が,ある日突然総理大臣になったら?」という,子供の頃に誰もが一度はしたかもしれない空想から生まれたとか。
第127代内閣総理大臣の黒田啓介(中井貴一)は,憲政史上最悪の支持率2.3%を記録し“ダメ総理”と揶揄されるほど国民から徹底的に嫌われていた。ある日,演説中に聴衆から投げられた石が頭に当たって昏倒し,そのまま病院送りに。ベッドの上で目覚めた黒田は一切の記憶を失っていた。彼の秘書官である井坂(ディーン・フジオカ),番場(小池栄子),野々宮(迫田孝也)の3人は,国政が大混乱になると,記憶喪失の事実を国民はもちろん,大臣や家族にも秘密にすることを決める。
しかし,進めようとしていた政策はもちろん,大臣の顔と名前,国会議事堂の本会議場の場所,自分の息子の名前すら思い出すことのできない総理。さらには,記憶にない件でタブロイド紙のフリーライター・古郡(佐藤浩市)にゆすられ,記憶にない愛人の野党党首・山西あかね(吉田羊)にホテルで迫られる。妻・聡子(石田ゆり子)も不倫をしているようだし,息子の篤彦(濱田龍臣)は非行に走っている気配。よりによってそんな時期に,アメリカ大統領スーザン・セントジェームス・ナリカワ(木村佳乃)が来日。他国首脳や政界のライバル,官邸スタッフ,マスコミ,家族,国民を巻き込みながら,黒田は捨て身で自らの夢と理想を取り戻そうとするのだが…。
「そんなヤツいねーよ!」と笑えるのがコントで,「こんなヤツいるよね!」と笑えるのがコメディ…という話を聞いたことがある。薄っぺらくなったり,すぐに飽きられたり,呆れられたりしてしまうことなく“笑い”と“ベタ”を作品にまとめることって難しいと思うのだ。映画として求められるのが“コント”ではなく“コメディ”であると誰よりも理解している三谷監督の天才的なバランス感覚とキャストの上手さは,この作品の面白さを何十倍にと増幅し,観る者を取り込んでいく。PRにおける監督の発信力も相まって,そこに至極のエンターテイメントが生まれる。
「こんなヤツいるよね!」と,キャラのモデルをあれこれと類推させるのも,ツボを心得たヒット要素。3週連続興収トップ,累計23億にもうなずけてしまう。
共演は他に,斉藤由貴,草刈正雄,田中圭 など。チョイ役で意外な人も登場して楽しませてくれる。
クタ評:★★★★★
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