そして父になる | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Like Father, Like Son
監督:是枝裕和
キャスト:福山雅治/尾野真千子/真木よう子
配給:ギャガ
公開:2013年9月
時間:120分




ベルリン国際映画祭,ヴェネツィア国際映画祭と併せ,世界三大映画祭の1つに数えられるカンヌ国際映画祭。1946年に始まって以来,毎年5月にフランス南部コート・ダジュール沿いの都市カンヌで開かれる世界で最も有名な国際映画祭だ。今年,このカンヌ国際映画祭で最高賞の“パルム・ドール”を受賞したのが是枝裕和監督の『万引き家族』。日本人では今村昌平監督の『うなぎ』(1997年・松竹)以来となる21年ぶりの快挙となった。

今夜は,このコーナーではまだ紹介していない是枝作品から『そして父になる』を紹介。テーマに対し綿密な取材を重ねて脚本を練り上げていく是枝監督。しかし脚本はあくまでもベースで,撮影でのシーンやカットごとに,構図や俳優の芝居などを見て臨機応変に改稿。この作品でも約4割が現場での改稿から生まれたという。

これまで順調に勝ち組人生を歩んできた大手建設会社のエリート社員・野々宮良多(福山雅治)。妻・みどり(尾野真千子)と,6歳になる息子・慶多(二宮慶多)との3人で何不自由ない生活を送っていた。しかし最近,慶多の優しい性格に漠然とした違和感を覚え,不満を感じ始めていた。そんなある日,病院から連絡があり,その慶多が赤ん坊の時に取り違えられた他人の子だと告げられる。

相手は群馬で小さな電器店を営む少しがさつな夫婦・斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)の息子・琉晴(黄升炫)。両夫婦は戸惑いつつも顔を合わせ,今後について話し合うことに。病院側の説明では,過去の取り違え事件では血のつながりを優先するという。みどりや斎木夫婦はためらいを見せるが,早ければ早い方が良いという良多の意見で,両家族はお互いの息子を交換する方向で動き出すのだったが…。

まさにタイトル通りの作品。しかし,決して予定調和的なところはなく,対照的な2組の夫婦が過酷な決断を迫られ,それぞれに葛藤を繰り返す中で本当に大切なものを学んでいく姿に,終始サスペンスフルで心を揺り動かされ続ける。“登場人物がこのシーンでどう感じるのか?” “血の繋りか?or愛情をかけ一緒に過ごしてきた時間か?” “どういう選択をするのか?” “それは正しいのか?” そして,“自分だったらどうするのか?”…固唾をのんで見守る時間は濃密で濃厚な追体験となる。

カンヌ国際映画祭では見事,審査委員賞を受賞し,大きな話題となった。第37回日本アカデミー賞では,最優秀助演男優賞(リリー・フランキー),最優秀助演女優賞(真木よう子)の2冠を達成した。


映画クタ評:★★★★


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