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原題:The Shallows
監督:ジャウマ・コレット=セラ
キャスト:ブレイク・ライヴリー/オスカル・ハエナダ/ブレット・カレン
配給:コロンビア映画/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:2016年7月
時間:86分




ちょっとお待たせしてしまったけど,今夜はリクエストをいただいたこの1本を紹介。主演は日本でも放送されたTVドラマ『ゴシップガール』のセリーナ役でブレイクしたブレイク・ライヴリー。29歳だが『デッドプール』のライアン・レイノルズの妻で2児の母。

サメを題材にした映画といえば有名な『ジョーズ』シリーズ4部作をはじめ20作以上あるのだが,その中でもコレは秀逸。監督はサイコ・スリラーを得意とするスペイン出身のジャウマ・コレット=セラ。原題の『The Shallows』とは「浅瀬」の意味で,個人的にはコッチの方がしっくりくる。

医学生のナンシー(ブレイク・ライヴリー)は,亡き母が教えてくれた地元のサーファーしか知らない秘密のビーチで休暇を満喫しようとしていた。美しいロケーションと理想の波に,時が経つのも忘れてサーフィンに興じるナンシー。すると突然,何かにぶつかり脚を負傷してしまう。慌てて近くの岩場に避難したものの,傷口からは大量の出血が。しかし何よりも彼女を恐怖のどん底に陥れたのは,目の前を悠然と泳ぐ巨大なサメの影だった。岸までの距離はおよそ200m。しかも徐々に潮が満ち始め,岩場の面積はみるみる狭まっていく。ラッシュガードで何とか止血し,生き残るための方策を必死で考え抜くナンシーだったが…。

入江に囲まれた静かなビーチ。沖で持ち上がる波を確認すると,おもむろにTシャツを脱ぎ,際どいビキニの上にラッシュガードをまとい,一気にファスナーを引き上げるブレイク・ライヴリー。その完璧に美しい肢体は,1時間後にかなり可哀想になることになる。が,とりあえず冒頭20分間はサーフィン映画として存分に満喫しちゃおう。携帯の写真やビデオ通話を用いた画面構成も,斬新ではないが,これだけ堂々と使われると新鮮に感じるから不思議。

後半の1時間はホラー…と言うより,舞台は違うが『ゼロ・グラビティ』(2013年・ワーナー)を思わせるサバイバル・アクション。ビーチはすぐこそなのに誰も気づいてくれない孤立感,岩が水没しサメの餌になる満潮まで100分という焦燥感が見る者の心拍数を上げる。特に,サメの歯形で大きく裂けた大腿を,ピアスと月形のネックレスで縫合するシーンは記憶にこびりつく。ただの強いヒロインではない,肉の痛みを伝えるヒロインの死闘に,サメの恐怖よりむしろ「次,どう闘うの?」と応援し目が離せなくなってしまう。


映画クタ評:★★★★