ちはやふる -上の句-/-下の句- | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:小泉徳宏
キャスト:広瀬すず/野村周平/真剣佑
配給:東宝
公開:2016年3月(上の句)/2016年4月(下の句)
時間:111分(上の句)/102分(下の句)




ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くゝるとは
百人一首にある在原業平の和歌。訳出すると「遠い昔,数々の不思議なことが起こっていたという神代でさえも聞いたことがありません。川面一面に紅葉が散り浮いて流れ,この竜田川の水を真紅色の絞り染めにするとは」という意味になる。情景描写かと思いきや,実はこの業平,1200年前のイケメン&プレイボーイで,皇太子と結婚するために別れることになった恋仲の二条の后を想い「私の燃える想いが,竜田川の流れを真っ赤に染め上げてしまうほど,今でもあなたを愛しています」という匿れた想いが詠まれているとか。

この百人一首を題材に,競技かるたの世界を描き,コミックス累計発行部数1400万部を突破する大ヒットとなった末次由紀の漫画『ちはやふる』の実写化作品を今夜は紹介。なお【くた★むび】では,続編の公開が2ヶ月以内の場合は,2作を1記事で紹介することにしているのでご了承を。

小学校時代,転校生の綿谷新(真剣佑)から“競技かるた”を教わり,その魅力の虜になった綾瀬千早(広瀬すず)。幼なじみの真島太一(野村周平)を巻き込み,3人は競技かるたを通して強い絆で結ばれていく。しかし,家の事情で故郷の福井に戻った新とは遠く離ればなれになってしまう。かるたを続けていれば新と再会できると信じる千早は,高校に入るとすぐに“競技かるた部”の創設に乗り出し,高校で再会した太一を再び巻き込み,2人で部員集めに奔走する。やがて古典大好き少女・大江奏(上白石萌音),経験者の“肉まんくん”こと西田優征(矢本悠馬),秀才の“机くん”こと駒野勉(森永悠希)の勧誘に成功し,ついに千早悲願の競技かるた部が産声を上げるのだった。

創部一年目にして強豪北央学園に勝利し東京都大会優勝を成し遂げ,全国大会への切符を手にした瑞沢高校競技かるた部。千早はさっそく新に優勝の報告をするが「もうかるたはやらん」という新のまさかの告白に動揺を隠せない。それでも,太一やかるた部の仲間たちとともに全国大会に向けて練習に励む千早。そんな時,自分と同じ年でありながらクイーンに君臨する孤高の絶対王者・若宮詩暢(松岡茉優)の存在を知り,頭から離れなくなっていく。新の心を取り戻すためにもクイーンに勝ちたいという思いが募り,いつしか周囲が見えなくなってゆく千早だったが…。

とにかく千早の“キラキラ感”と“熱”と“ひたむきさ”が全編を引っ張り,見る者を惹き付ける。原作は未読だが,広瀬すずが等身大で千早と同化していると感じた。冒頭でも紹介したように「ちはやふる」は和歌では「ちはやぶる」。さらに「千早ぶる」とも表記され「荒々しく勢いがあること」を意味するが,ただ荒々しいだけの「荒ぶる」とは異なり“支点が定まり一点に集中してブレないこと”を表す。この作品は,ますます活躍し“千早ぶる”現在の広瀬すずの代表作となった。

共演は他に,松田美由紀,國村隼,広瀬すずの実姉の広瀬アリスなど。また,『-下の句-』の初日舞台挨拶で,完結編となる続編の製作決定がサプライズ発表された。


映画クタ評:★★★★


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