前回の記事で、マリー・アントワネットと恋人のスウェーデン貴族フェルゼンの往復書簡について触れました。
"マリー・アントワネットの暗号"
〜解読されたフェルセン伯爵との往復書簡〜
まさにドキュメンタリーの内容そのもの。発刊が2018年8月ですので、ドキュメンタリーはこの本よりも更に研究され解読が進んだ内容だと思われます。
フランス革命勃発後、パリへ移されていた国王一家が逃亡を図った事件の顛末です。
"マリー・アントワネット 運命の24時間"
120億とも言われる準備金はフェルゼンがほとんど用立てたもの。個人の資産、王党派貴族からの支援、それでも足りない分は個人的な借金を重ねたとあります。
馬車や変装用の衣服、偽の旅券など必要な物の手配、諸外国との密書のやり取り、味方となる軍人を通じて兵を集め、綿密なスケジュールを立て、協力者を配置する…常人では到底できない数々の仕事をこなし、秘密裏に完璧にお膳立てしていたのです。
逃亡の一部始終が国王ルイ16世の分刻みのメモによって明らかになっています。計算され尽くした計画のはずが、少しずつ狂いが生じて破滅へと向かって行く様は読んでいて歯がゆい思いもします。
第一章は逃亡事件の19年後、フェルゼン最後の日が描かれています。奇しくも逃亡事件と同じ6月20日に民衆によって惨殺されるという痛ましい最後。胸が痛みます。
実は元々私の中であまり深い印象はなかったのですが、"こんな人だったんだ"と改めて認識を深めた一冊です。
フェルゼンの言葉 "千の命を捧げたい"が心に残ります。
マリー・アントワネットの伝記はいろいろありますが、絵画や好んだ美術品、身に付けた物などから人生を辿る本も興味深いです。
秋の夜長、遠い昔の出来事に想いを馳せながら読書を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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