詰め込み型で悲しいパターンにならないために(with詰め込み型の定義) | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 ここ最近で気になるのは、真面目なのにあるところで急に伸びが止まる、点数が取れなくなる、難関校の入試に対応できない、などの現象が結構な率で誰しもにあることです。中学受験ではそれが小5くらいに来やすいです。

 

 その原因なども結構共通していて、僕は根本は、「塾のやり方」の問題だと思っています。クラス分けの激しい塾においては、点数を取らなければならないので、とっとと覚えてしまおう、という傾向がどの子にも基本あります。1週間の時間に余裕がないのも関係します。

 

 が、この問題はレイヤー(層、ミルフィーユみたいなものw)構造になっていて、そう一面ではわからない根深い問題を含んでいます。上記の原因はミルフィーユの一番上の部分でしかありません。

 ま、今回の記事と次回で第2層までは掘り下げたいと思います。これがいつか、良き知識人に届くことを祈っております。

 

 

 特に関東ではトップ層の子でも普通に詰め込みに走るので、僕は危惧しています。四谷の合不合や月1の復習テストでは点数が取れても、名門校の入試では太刀打ちできないことが多いのに、です。

 

 詰め込み型で対応できにくい名門校は以下の通りです。

 渋々、渋幕、男子御三家、海城の理社、女子御三家、栄光学園、灘、甲陽など関西のトップ校、中堅では広尾、三田国際、開智日本橋など、また、各適性検査型を採用している都立中高一貫など各校


 まだいろいろあるのですが、(基本的には)全体的に女子校の方がこのような学校に該当しない傾向にあります。(つまり詰め込みでも対応できる学校が多い) 

 

 ですから、特に女子は、共学を狙うのか女子校を狙うのかで、かなり戦略が変わってきますし、変えるべきです。

 僕からのおススメとしては、今日の記事を参考にしていただきながら、基本的に思考・記述型を志して勉強をし、無理そうなら女子校にシフトする、というのがおススメではあります。吉女や豊島岡なら、短期間でなんとかなる部分もあります。(あまくはないけどね)

 

 名門の大学付属校では、さらに詰め込みというレベルを逸した詰め込みが要るところもあります。

 

 今日は、「詰め込み」とはいったいなんなのかを僕なりに定義し、そこからどうすれば詰め込みの弊害を防げるかの提言をしてみたいと思います。

 

 

・詰め込みがゼロで点数がとれるわけではない

 ……よく、都立や県立の中高一貫校を狙う方で、塾行けばワンチャンあると思って、まあ受かるやろくらいの感じで、軽く塾通いをしているパターンがあります。結果、私国立中高一貫校を狙う子たちに比べて半分くらいの勉強量で受験し、結構玉砕しています。

 

 もちろん、公立中高一貫校では、(サピ生などに比べて)あまり熱心でないのに受かっている例はあります。ただ、それは、もともとの地頭の良さや読書量だけで受かっているに近く、結局は処理能力などをどこかで鍛えた子が受かっているにすぎません。

 また、区立九段のように地方枠で受かっているだけ、の場合が多いです。中学受験で苦労せずに受ける、というのは僕からはおススメできません。

 

 いわゆる適性検査型だったり、サピでいうBタイプ(思考型)が多い学校では、子供たちに習ったことのないであろう話題・設問を出し、その場で考えさせ、論述や分析をさせています。

 ここでは、予めの勉強など意味がないように思えますが、しっかり勉強をしてきた子とそうでない子では、全くスタート地点が違います。まずはそのことを知っておくべきです。

 

 例えば、確かに、社会の資料分析などでは何も知らなくてもできるものはあります。

 

 ですが、社会をしっかり習ってきた子は、似たようなケースだったり、知見だったりをどこかで見たり聞いたりしていることが多いです。つまり、参考にできる知識が多いのです。全く受験勉強をやってこなかった子とはものすごい教養の差になっており、直接解答にはかかわらなくても、問題に対する判断力などに差が出ています。これはぱっと見ではわかりません。

 

 今の中学受験の勉強は特に、教養としては高いものが手に入ります。数学や理科社会、漢字に語句など、広範なものを3年前後かけて膨大にやりますので、その「共通項」や「法則」、「知恵・知見とはこういうものだ」という経験値が手に入っているのです。

 

 つまり、「センス」が養われている、と言い換えても良いです。クイズのような詰め込み型の問題に答えるために勉強するのではなく、このような共通知見や、問題意識、常識たる教養を身に着けていくのが、そもそもの勉強です。これは、大学受験などの各受験の勉強でも同様です。

 

 親御さんの中には、ここのところが抜け、単なる点取りゲームであったり、入試さえ合格点とればよいという感覚を持たれている方が多いです。その意識では、かえって成績は伸びません。その意識が子供に伝播し、我が子が伸びにくい子になっていきます。

 

 教える側からは、この差をものすごく感じます。言いにくいことですが、毎年のコンサルを通じて、やはり関西の方が、「長い目での勉強」という意味では、伝統的に良いようにとらえられている感じがします。

 

 それは絶対的な『灘』という超思考系の中学があることから、その影響でどこもしっかり考えさせたり、教養面もちゃんと重視する塾や指導者が多いのではないかな、と思えています。我が母校、白陵中高も、灘の影響は随所に受けまくっていました。

 ま、コンサルを依頼されるような関西の方はそもそも優秀な方が多い、というだけかもしれませんし、今後どうなるかはわかりませんが。(にしても、上位層同士でも差を感じるな、と)

 

 つまり、同じように解法暗記に走るにしても、教養として、どんなジャンルでもやっておく、テストに出そうにないところも一応やってみる、などの感覚が、結局はいろいろな有形無形のところで思考の結びつきを生み、頭の良い子になっていく部分があるのです。

 

 すべては、リンクしています。方陣算がでない学校を受けるからと言って、方陣算をやらない選択をとるより、一応でもやって「そういう考え方もあるんだな」というのを知っておくのが、「戦闘思考力」になります。

 

 いくらググれば終わり、という時代が来たとはいっても、頭の中にいろんな物事が入っている人間のほうが、その知識同士が結びつきやすいし、他の分野で違う分野のものの見方などが応用できたり、「幅」ができます。セレンディピティが起こります。

 よって、国算理社はすべて学習した方がお得ですし、中学受験は少なくともそうなっています。

 

 同様に、大学受験も、ぬるいこと言ってないで、全科目をするのが将来の大きな教養になります。僕も高校時代、もう少し成績に余裕があったなら、世界史などをもっとやっておきたかったです。(その後、中公文庫の世界の歴史シリーズで学び直しました。面白かったです)

 

 「こんなことして何の役に立つんだ」という人間は、まだやり方が浅いだけなのです。実学だけで、世の中が成り立つわけではありません。(ま、今の学校教育は実学がなさすぎてダメな気もしていますが)

 また、人間が実学だと思っていることでそうでないこともあるし、その逆もあります。卑小な人間などに、そのジャッジができるはずがありません

 

 ましてや、僕を含め皆さんはガチの学究の徒(賢者)からすれば、赤子も同然の知識・知見しか持ち合わせていないのです。僕らに何が役に立ち、何がそうでないか、など判断できるはずがありません。高学歴を目指す人間ほど、そのような謙虚さを持つべきに思います。

 

 ということで、中学受験なら月のテストで6割、大学受験なら大学共通テストで7割とれるくらいの知識はもちろん、あったほうが良いし、東大にいくような人間は全員が持ち合わせています。そこまでは、数学の解法を含め、すべて詰め込みです。それでOKです。

 

 問題は、その先なのです。

 

 

・知識の「なぜ」を追及しているか

 ……その「先」とは言いましたが、これは、詰め込みが土台になっているわけではなく、車の両輪のようなもので、別経路ではあるものの、二つがそろってはじめて、大きな力を発揮するものです。

 

 思考力、と言いますが、この単語はあまりに陳腐かつ便利で誤解を生みやすく、変な期待と誤謬を生むので、ここでは「戦闘思考力」と言い換えてみたいと思います。つまり、知能の「サバイバル能力」です。

 

 例えば、山で遭難したとします。それが雪山であれば、地面に雪を掘って一時退避をして、じっとして、吹雪がやんだり、朝になるまで待つのが助かる最上の手段です。

 これは、地表では空気が対流し続け、どんどん温度が下がっていくのに対し、穴を掘って隠れていれば、そこの空気は止まるので、熱が逃げにくく体温を維持しやすいのと同時に、夜さまよったり吹雪になって歩いていると、体力を消費しやすく、助けが来るのを待てないからです。

 

 大事なのは、今、どうやって雪に穴を掘るか、です。その手段を「知って」いても意味はなく、掘ることが大事です。

 さて、どうやって掘るか、を考えるのが知のサバイバル能力です。そのあたりにある棒きれなどで掘ってもいいし、時間が惜しければ手で掘ってもかまいません。要は穴が掘れればいいのです。また、手段うんぬんよりも、掘る、という行為が最も大事になります。

 

 人数が多ければ、全員でとっとと手で新雪の部分を掘るのが良いとは思いますが、二人の場合、怪我人が要る場合、などいろいろ考えられます。

 答えはひとつではなく、つじつま合わせでオリジナルにひねり出してもかまわないのです。尻で掘ってもいいです(笑)

 

 自分ならどうしよう? これを考えることが、思考問題やB問題、上位難関校が要求してくる問いです。こう考える習慣があれば、必ず思考問題にも対応できます。考えないからできないのです。

 

 とはいえ、この場合も、知識は有効です。なぜ雪をかまくらのように作るのでなく、地面の下に掘るほうが良いのか、の理由を知っておいた方が良いのです。

 論理的に助かりそうにない手段ならそこで取るべきではありません。

 

 その知識の「なぜ」をしっていれば、「応用」が利くのです。アイスバーンが多い地帯なら、要は風をよけ、体力が温存できればよいので、掘り方を変えればいいかもしれませんし、氷を割ってスコップみたいにしてもいいかもしれません。

 

 応用、というのは、理由や「なぜ」を追い求める中でしか身につかないものです。また、「なぜなのか」を知っていればそこから応用は簡単です。知る、ことから応用は始まりますが、これは『暗記』ではありません。

 

 この場合も、「アイスバーンがある場合は○○、熱帯地域の場合は○○、」とケースごとに全部を、1から10まで習って、一つ一つ暗記している場合ではないし、非常にそれは効率が悪いです。

 

 基本的に、サピックス生や関東の大手塾の方は、この「一つ一つ暗記」に陥っているケースが、上位層でも多いのです。知のサバイバル能力としては、低いです。(雪山は一例ですので、詳しい方はつっこまないでくださいねw)

 

 「知る」と「暗記する」の違いを意識してみましょう。

 

 なぜそうなのか、どういう機構でそれがそうなったのか、それらを一切考えないのが「暗記」「詰め込み」です。僕の「論述で覚えるシリーズ」は、その打開を目標としています。(下のリンク参照w)

 

 

 長くなりそうなので、一旦ここで話を切ります(笑) 

 

 「知る」をまずは重視してみましょう。

 

 「知る」は奥が深いです。例えば、恵まれない子供たちの現状を「知る」から、「なんとかせな」「かわいそう」「自分はなんて幸せなんだ」と思えるわけです。知ることが、心を寄せることにつながるのです。応用問題を解く真髄は、基本的に出題者の心に自分を寄せることなのです。それが「思いやり」にもつながるのです。

 

 このことは、天皇陛下の統治、「シラす」とも関係します。天皇家の古来からの統治は、人々のことを「知り」、知ることで心を寄せ、和する政治だったそうです。困窮にあえぐ人がいるのを知ってしまえば、手を差し伸べざるを得なくなるものです。

 

 ここが海外の政治との一番の違いかもしれません。きっと、今の天皇家の方々にも受け継がれています。さて、今の政治家や官僚はどうでしょうか。

 ということが、おススメ読書のこの本に書いてありました↓ やはり教養になります。

 

 

 知ることが、すべての始まりともいえるのです。裏側もお陰も全部知っておきましょう。それが、単なる暗記を指すものではないことは明らかです。

 

 国算理社、すべてにおいて、「こんなこともあるのか」と知っていきましょう。知ることそのものは、楽しいはずです。それが勉強の本質です。

 

 

 僕はこれまでのコンサルなどの経験から、なぜ、関東の子のほうが詰め込み型に走りやすいのか、その原因が実は見えています。

 でもそれには、かなりの論理展開と前置きがいるので、次回に続きます。教育問題そのものを論じるのでアクセスは少ないとは思いますが、書いてみたいと思います。

 ただの東大自慢や私大・サピディスにならないように気を付けます(笑)

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

 

おススメ読書タイトル100、問題集など https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12589194343.html

 

リブログ、リンク、引用等は基本自由です。もちろん、一報いただけると助かりますが、特におしらせいただかなくても大丈夫です。リブログしていただければ、「いいね」くらいはしに行きますw

 

スーパーコンサル2020、今年も受け付けております。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。もちろん、2度目3度目の方も歓迎です。ご希望の方は、下記記事を参照の上、メールをください。(読んでない方が多いです。一度はぜひお読みください)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12446458308.html

メールアドレス、hasetomo2009☆yahoo.co.jp(☆を@に変えてください)

 

また、小6から定期指導(月2または月4)をご希望の方は、早めにその旨お伝えください。できれば、新学年前に一度コンサルなどで課題点や学習計画などを相談したほうがうまくいきやすいです。家庭教師の方は下記をご参照ください。(2020年現在、毎週の指導は厳しい状況です)

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12514934840.html

 

足軽割引き(僕のバンドのライブに来てくれた方やバンド関係者の優遇)を行っています。一度でもライブに来ていただければ、誰でも関係者になれます(笑) 下記記事をご参照ください。

https://ameblo.jp/jyukuko/entry-12528522329.html

 

 

<メールについて>

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

また、現在、かつてないほどの多忙につき、やや返信が遅れ気味になっております。同時に複数のメールをやり取りしている場合もありますので、返信が滞っている場合は、かまいませんので催促してください。

できれば相談内容などは400字程度でお願いいたします(厳密ではないですw)1件のメールに、1時間近くかけて返信することも多いので、そのあたりをご配慮ください。また、アメブロのメッセージはあまり見ませんし、しばらくすると消えるので、返信はしません。

できればヤフーのメールでお願いいたします。

 

5年生以下や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、茨城、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

<追記>

この度、僕がベース軍師として加入している戦国バトルメタルバンド『Allegiance Reign』の初MVが公開されました。小田原城全面協力の元、色々な方々の助けもあって、素晴らしいものが撮れましたので、是非ご覧になってください。僕は烏帽子かぶってるヤツです。

◆MV
https://youtu.be/tI4YvWd8sz0

 

また、初のフルアルバム『EiEiO』が発売となりました。ブログでお世話になってっし、応援してやるか、という方は是非お願いいたします。この売上で、今後の僕らの流れも変わりますm(__)m
今回はレーベルにバックアップしていただき、アマゾンでも買えますので、よろしくお願いいたします。

下記My Pickをご参照ください。
 

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